大腸内視鏡検査の2種類の副作用!検査前に知っておきたいことを解説

検査を受ける時に気になるのが副作用

大腸内視鏡検査では、太さ11ミリから13ミリ位の細長くて軟らかい内視鏡を肛門から挿入して、大腸の全体を精密に観察します。そして、この検査を行うことで大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患、大腸憩室症などの疾患を発見することができます。

日本で増えてきている大腸がんは、早期段階で自覚できる症状がほとんどなく、自覚症状が出たときは大腸がんがすでに進行してしまっている可能性が高いのです。大腸がんを早期に発見するためには、定期的に検査することが重要になります。

そんな大腸内視鏡検査には副作用があるのか?についてこの記事では解説していきます。

大腸内視鏡検査で使用する薬の副作用

大腸内視鏡検査では「ブスコパン」「グルカゴン」「ミダゾラム」「ペチジン」などの薬を使用することがあります。これらは鎮痛剤・鎮静剤であり、内視鏡を挿入する際の苦痛の軽減に使用されます。

ブスコパン

ブチルスコポラミン臭化物が主な成分で、鎮痙作用、胃液分泌抑制作用、消化管運動抑制作用などがある抗コリン剤です。過度の緊張による痛みや膀胱や尿路、消化管などの筋肉のけいれんを抑えます。副作用には便秘や口渇、動悸、眼の調節障害、蕁麻疹、発疹、などがあります。前立腺肥大、疾患、緑内障の方は薬の服用ができません。

グルカゴン

膵臓のホルモンの一つであり、消化管の動きを抑えたり、成長ホルモンの分泌を促したり、血糖値を上げたりする作用がります。内視鏡検査及び消化管のX線の前処置で使用されます。倦怠感、頭痛、吐き気などの副作用があります。意識障害やふらつき、低血糖が原因のめまいがあらわれるので、高い場所での作業や危険が隣り合わせの機会の操作、車の運転は十分注意が必要です。糖尿病の方は服用ができません。

ミダゾラム

全身麻酔導入の際や維持、麻酔前投薬などに使用されます。嘔吐、吐き気、発汗、興奮、悪夢、咳、たん、しゃっくりなどの副作用がみられます。糖尿病の方は服用ができません。

ペチジン

麻酔前投薬、麻酔補助、激しい疼痛がある時の鎮痛などに使用します。発汗、嘔吐、下痢、薬物依存、腹痛、頭痛、不眠、不安、全身筋肉痛、全身関節痛、血圧低下、意識低下、呼吸困難、痙攣、錯乱、気管支痙攣、不整脈、血圧変動などの副作用がみられます。

大腸内視鏡検査による偶発症

大腸内視鏡検査は体に負担がかかり、偶発症が発生する可能性があります。高齢者や高血圧の方は偶発症のリスクが高いです。高齢の方は胃・食道内視鏡検査と同じ日に大腸内視鏡検査を受けないことが大切です。また、高血圧の方は事前に医者に相談をして、必要ならば降圧剤等を処方してもらい、血圧が安全な数値になってから大腸内視鏡検査を受けなければいけません。
大腸内視鏡検査の後には、軽い腹痛や腹部に張りが残ることがありますが、一般的にこのような症状は数日でなくなります。
大腸内視鏡検査を受けたことによる偶発的な症状には「前処置に伴う腸閉塞及び腸管穿孔」「出血・腸管穿孔」「使用する薬剤によるアレルギーショック」などがあります。

前処置に伴う腸閉塞及び腸管穿孔

0.00001%以下の頻度で起こります。大腸病変の方、初めての検査の方、高齢の方はとくに、前処置を慎重に進めますが、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状があらわれたら検査を中止することもあります。

出血・腸管穿孔

約0.04%の頻度で起こります。万が一、重篤な偶発症が起こったら、緊急外科手術、輸血、再検査などの治療が必要となることもあります。サラサラな血液にする抗血栓薬を常に服用されている方は、事前に医師に申し出ることが必要です。

使用する薬剤によるアレルギーショック

ほとんどが一過性のものですが、重篤となることも稀にあるので、使用をして具合が悪くなったことのある薬剤があれば、事前に医師に申し出をしなくてはいけません。

これらの偶発症の他にも比較的軽い、めまい、吐き気、空嘔吐、腹部膨満感などの偶発症は起こる可能性があります。検査の後の休憩でこれらの症状が改善されない場合は、点滴などの処置が行われることがあります。

大腸内視鏡検査の他のデメリットは?

大腸内視鏡検査で使用する薬による副作用や偶発症の他に、デメリットはあるのでしょうか?

挿入手技が未熟な場合に伴う、違和感や痛みのような肉体的な負担はあります。内視鏡の細径化が進むにつれて、器具を挿入するときの負担は軽減されてきていますが、やはり内視鏡を肛門から入れるときに、少しの違和感や痛みを伴うこともあります。また大腸のなかを内視鏡が移動するときに、少なからず腸壁や粘膜が圧迫されるリスクも伴います。

寝ているだけのCT検査と比べると、このような肉体的な負担はデメリットといえますが、今は鎮静薬と挿入する技術の進歩によって、内視鏡の挿入に伴う苦痛は、ほぼ完全に解決されています。最近の内視鏡検査は、CT検査のように寝ているだけで、あっという間に検査も手術も終わってしまうのです。

大腸の内壁に存在しているヒダ状の構造物の影になっているところは死角となってしまい、大腸内視鏡検査でも見逃してしまう可能性があります。その点、いろいろな角度から大腸を描画するCT検査は、死角が少なくてヒダの影に発生した病変を見落としません。しかし、病変を発見してもこれがポリープなのか残便なのかの判別が困難となる場合があります。そのようなときは、結局大腸内視鏡検査を行い直接目で見て診断することが必要になるのです。

いろいろな検査を何度も行うよりも、今はほとんど苦痛を感じない大腸内視鏡検査で、診察と治療を一度に行った方が、精神的にも肉体的にも負担が少ないといえます。

大腸内視鏡検査の前処置

大腸内視鏡検査のデメリットのひとつには前処置もあげられます。大腸内視鏡検査を行う前に、大腸の中をきれいにしなければいけません。

病院によって、自宅で下剤を服用するか、検査当日に病院で下剤を服用するかは異なります。

モビプレップを服用する場合

自宅で洗浄液モビプレップを服用する場合、検査前日夜までは通常通りの食事をして、当時の朝食は食べずに洗浄液モビプレップを服用します。

1時間以内に病院へ行き、検査前に1回か2回浣腸をします。便秘気味の方は、前日か前々日から下剤の服用をすることもあります。モビプレップは服用する量が少なくて済み、服用するために要する時間も短いのが特徴です。

検査当日に病院でモビプレップを服用する場合は、自宅と同じように前日夜までは普通の食事を食べて、朝食は食べずに当日病院でモビプレップを服用します。

ビジクリアを服用する場合

飲みにくい洗浄液が苦手な方におすすめなのがビジクリアです。自宅でビジクリア錠を服用する場合、前日に通常通りの夕食を食べた後にラキソベロン液という下剤を服用します。当日の朝ごはんは食べずに、ビジクリア錠5錠と水200mlを15分間隔で8回服用します。1時間以内に病院へ行き、1回か2回浣腸を行います。大量の洗浄液を飲めない方には適していますが、モビプレップに比べると準備に時間がかかります。

前処置による負担は少なからずありますが、大腸の中を完全にきれいにすることで、「頑固な便秘が改善できた」「肌の調子がいい」「食事が美味しい」「体重の維持ができている」という嬉しい声もあるのです。

最後に

大腸内視鏡検査に使用する薬は、持病や体質によっては服用できないものもありますし、薬剤にアレルギーをお持ちの方は医師への申し出が必要です。また、鎮痛剤を使用した場合は、運動能力、判断力、注意力を下げる副作用があります。下剤による穿孔、腹痛、出血などの症状、検査による穿孔、出血などの偶発症が起きる例もあります。
前処置や検査による体への負担を心配される方もいますが、今は技術が進歩して、苦痛を感じることはほとんどありません。自覚症状が少なく、早期発見が重要な大腸がんを見逃さないためにも、定期的な検査を行うようにしましょう。

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