これから検査を受ける方へ!大腸内視鏡検査でわかる病気6つを解説!

大腸内視鏡検査は、大腸全体を詳しく観察する検査方法として最も精度の高い検査です。

大腸の検査には、ほかにもバリウム検査や大腸CT検査といった画像で見ることのできる検査がありますが、小さな病変や平坦なポリープなどを発見するのにはやはり、大腸内視鏡検査が最も適しています。映像をズームして観察することができるので、小さな病変でも発見可能なのです。

痛みや不快感、検査における不慮の事故など、体に負担がかかる可能性もありますが、メリットも非常に大きい検査方法といえるでしょう。そして、大腸内視鏡検査では大腸のさまざまな病気を目で見てリアルタイムで確認でき、大腸ポリープならその場で切除し、治療できる可能性もあります。

この記事では、大腸内視鏡検査で見つけることができる大腸ポリープ・大腸がん・その他の病気について詳しく解説していきたいと思います。

大腸内視鏡検査で大腸ポリープを切除できる

大腸ポリープとは?

大腸の管の表面は粘膜でできています。この表面の粘膜の一部に、イボのような突起ができているものを大腸ポリープといいます。一口に大腸ポリープといっても実は、その構造にはさまざまなものがあるため細かく分類されますが、主に腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分けられます。

このうち、大腸がんに進行してしまう可能性のあるものが、腫瘍性ポリープのうちの良性腫瘍で、腺腫と呼ばれることもあります。これが悪性化してがんになることもありますし、最初から悪性の腫瘍、いわゆるがんとなっている場合もあります。

大腸ポリープはその場で切除できることがある

大腸内視鏡検査をおこなっているときに、大腸ポリープを発見したら、その場で切除できることがあります。その条件には以下のようなものがあります。

  • 10mm以下の隆起型のポリープであること
  • 屈曲部などの切除に困難な位置にないこと
  • 良性潰瘍であること
  • 抗血栓薬を服用していないこと
  • 出血傾向のないこと
  • 切除後1週間以内の飲酒やスポーツ、温泉入浴や旅行、出張の予定がないこと

この条件を満たして、担当医師が安全に切除できると判断した場合は、その場で切除をおこないます。

大腸ポリープの症状

大腸ポリープでは、自覚症状がほとんどありません。特に小さなポリープでは無症状であることが多いです。このため、大腸がんに進行する前のポリープを早期に見つけるための大腸内視鏡検査は大切といえるでしょう。

一方で、ポリープのできる位置によっては自覚症状があることがあります。肛門の近くに出来た場合は、血便が出たり粘液のようなものが付いた便が出たりすることがあります。また、ごくまれなことですが、ポリープが肛門をふさいでしまって腸閉塞を起こしたり、肛門から飛び出してしまったりすることもあります。

内視鏡検査では大腸がんを発見できる

大腸がんとは?

国立がん研究センターの報告によると、全てのがんの中で男女共通して罹患率の高いという特徴があるのが、大腸がんです。大腸ポリープの中の良性腫瘍が大きくなって悪性化してがんになるものと、大腸の管の壁の粘膜から直接発生するものがあります。日本人では、S字結腸と直腸にがんができやすいとされています。

年齢的には50代くらいから徐々に増えていき、高齢になるほど多くなっていきます。このため、40歳を過ぎたあたりから大腸内視鏡検査を検討することが大切です。

大腸に発生した大腸がんは、最初は大腸の壁の表面にある粘膜に発生しますが、次第に壁の深部に侵入していきます。そして、壁の外部に達するようになると、腹腔内に散らばったり、大腸の壁の中の血液やリンパ液の流れに乗ってリンパ節や他の臓器に転移したりします。

大腸がんの症状

大腸がんも、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。進行するにしたがって、以下のような症状が出てきます。

  • 便に血が混じる
  • 下血する(腸からの出血によって赤い便や赤黒い便が出たり、便の表面に血が付いていたりする)
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 腹痛
  • 嘔吐

大腸がんの進行により転移して、肺や肝臓など、ほかの臓器のがんとして発見されることもあります。

大腸がんが発生する原因

大腸がんの発生する原因には、生活習慣があるといわれています。赤肉(牛や豚、羊など)や加工肉(ハムやベーコンなど)をよく食べたり、飲酒や喫煙をしたりすることも、大腸がんの発生する危険性が高くなるといわれています。

また、家族の病歴との関連性もあるとされているので、家族に大腸がんや大腸ポリープの既往歴のある方は注意したほうがよいでしょう。家族性腺腫症やリンチ症候群の家系の方は、大腸がんの発生が多いようです。

クローン病(炎症性腸疾患)や潰瘍性大腸炎などの炎症

大腸内視鏡検査では、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症を発見することができます。

クローン病

炎症性腸疾患のひとつで、主に小腸や大腸などの消化器官に炎症が起きることにより、びらんや腫瘍が起きる原因不明の慢性の病気で、厚生労働省から難病の指定を受けています。10代後半から20代に発生することが多く、2:1で男性の患者数が多い病気です。

また、腫瘍が起きるのは腸だけではなく、口から始まって食道や胃、小腸や大腸、肛門のすべての消化器官に腫瘍が起きることもめずらしいことではありません。しかし、最近はよく効く薬や治療法があるので適切な治療をして症状を抑えることができたら、健康な人と変わらない日常生活を続けることができます。

潰瘍性大腸炎

炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜に炎症が起きることによってびらんや潰瘍などが起こる病気で、クローン病と並ぶ炎症性腸疾患の代表的疾患で、厚生労働省から難病の指定も受けています。20代から30代に発生することが多く、クローン病と違って男女差はありません。

さまざまな合併症を引き起こすこともありますが、適切な治療をおこなえば症状を抑えることでき、健康な人と変わらない日常生活を送ることができます。

虚血性腸炎

大腸の血液の流れが悪くなり、酸素や栄養分が行き届かなくなることから、大腸の粘膜の血のめぐりも悪くなり、炎症や潰瘍を引き起こす病気です。高齢者に多く発症しますが、若い女性でひどい便秘の方が発症することもあります。

大腸憩室症やその他の病気も発見できる

大腸内視鏡検査では、大腸ポリープや大腸がん、炎症といった疾患を発見できるほかに、大腸憩室症やその他の病気を発見することが可能です。

大腸憩室症とは?

腸管の内壁の一部が、袋のようになって外に飛び出したものを憩室といい、内視鏡検査ではくぼみのように見えます。年齢が上がると共に大腸憩室症の方は増えていって、10人に1人くらいの割合でこの症状の方がいます。

もともと欧米人に多い病気だったのですが、近年日本人にも増加しています。これは、食生活が欧米化していることによると考えられ、食物繊維の摂取量に関係しているとされています。

ただ、この大腸憩室症は決して悪い病気ではなく、炎症を起こして腹痛が起こったり下血したりするなどの症状がなければ、治療もおこないません。しかし、炎症などの症状がある場合に放置すると、腹膜炎に発展することもあります。

検査をおこなった際に、偶然、この病気が見つかるというパターンが多いのですが、突然の腹痛や出血などによって、検査をおこない、発見されることもあります。このような場合、急性虫垂炎とも症状が似ているので、判断しづらいこともあります。もしも、以前の検査で体の右側の盲腸があるあたりに憩室があると診断されていたら、そのことを申し出ることで、スムーズに判断できます。

ほかの病気も分かる

大腸内視鏡検査では、これらの病気のほかに、ウイルスや細菌、アメーバ赤痢や寄生虫などが原因で起こる炎症が分かります。原因は、さまざまですが、生検により精密検査をすると、病気になった原因がわかります。

最後に

大腸内視鏡検査は、他の大腸の検査に比べても、リアルタイムで大腸の中を観察できる唯一の検査方法で、精度が高い検査法です。その結果分かる情報は多く、小さな病変を発見するケースも多いです。大腸に関するさまざまな病気が判明します。

検査時の苦痛や偶発症が起こる可能性などのデメリットもありますが、メリットが非常に大きい検査方法で、大腸がんや大腸ポリープ、炎症などを判明し、病気の早期発見や予防につながるので、40歳を超えたら検討してみることをおすすめします。

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