腹痛が全然治らない!病気のサインかも?大腸内視鏡検査を受けよう

腹痛が長く続いたこと・何度も繰り返し起こることはありませんか?

食生活に日ごろから気を配り、適度な運動も心がけて健康管理をしていても、腹痛や頭痛に見舞われるというのは誰にでもよくあることです。

1~2日で治まる腹痛や頭痛であれば心配はいりませんが、これが数日たってもよくならない、あるいは何度も繰り返し起こるといったような場合には放置せずに病院で検査してもらうのが得策です。

腹痛の原因はさまざまですが、やはり最初は内科か胃腸科で診察を受けて診断を仰ぎましょう。腹痛といっても射し込むように痛い、全体が腫れているような感じがするなど痛みのタイプはさまざまですから、メモしていくと診察がスムーズです。

この記事では腹痛と検査にフォーカスをしてお話をしていきます。

「お腹」は広範囲にわたる

腹痛

私たちが「お腹が痛い」というときには非常に広範囲の部位を示すことになります。胸のすぐ下、みぞおちの辺りもお腹ですし、脇腹に近い部分やおへそ周辺、恥骨に近い下腹部、さらに足の付け根のすぐそばの鼠径部(そけいぶ)に至るまでをお腹と認識している人は多いはずです。

ですから、腹痛が続いて病院に行こうと思っても、どの科を受診したらいいか迷うことも多いでしょう。お腹の不調を診てくれるのは胃腸科や内科ですが、女性の場合は婦人科系で診てもらったほうがいいこともありますし、男性の場合は泌尿器の病気からお腹が痛くなる可能性もかなり高いです。

これまでに既往症のない人、検診を受けて引っかかったことのない人で、しかも胃腸の辺りに痛みを感じる場合は、とりあえず胃腸科を受診するのがおすすめです。胃腸の病気はたくさんありますが、早期に腹痛の原因を突き止めて治療することで有効な治療をすることが可能です。

胃腸科では大腸内視鏡検査ももちろん行っていますが、受診してすぐその場で腹部エコー検査を受けることも可能です。腹部エコー検査ではポリープや結石、のう腫や筋腫があるかどうかを診ることができますので、腹部に病気があるかどうか確認するには最適です。

腹部エコー検査ではできるだけお腹を空にして行ったほうがいいので、胃腸科の予約を取ったら前日の夜はできるだけ軽い食事で済ませるようにしましょう。腹部エコー検査は痛みもなく、被曝もない検査ですから安心して受けることができます。

大腸内視鏡の前に行われる検査

お腹のうちでも特におへそから下の部分に痛みがある場合には、胃腸科で大腸の検査をしてもらうことで思わぬ病気が見つかることもあります。大腸に疾患がある場合には、おへその下の辺りに張るような感じの痛みがある、ときどきお腹の一部がきゅーっと閉まるような痛みがある、排便やガスが出ると痛みが消えるなどといった特徴があります。特におへその左下に痛みを感じたら大腸を検査してもらうことが重要です。

腹痛があるからといっても病院に行けばすぐに大腸内視鏡検査を行うというわけではなく、最初に問診とさまざまな検査を行い、必要であると医師が判断した場合に大腸内視鏡検査が行われることになります。

腹痛がどこから来ているのか、何が原因なのかを確定するためには、まず血液検査と尿検査が行われます。血液検査の中でも特に白血球数および分類、血小板数、赤血球数、そしてヘモグロビンとヘマトクリットを重点的に調べる「末梢性検査」というものが行われています。尿検査ではタンパクや糖、潜血の有無を調べ、尿管結石や急性腎盂腎炎など腎臓の疾患から来る腹痛なのかどうかを確認します。血液の面からも腎機能や肝機能を診るために血液生化学検査を行います。

大腸に疾患があり、そこから痛みが出ている場合には潰瘍などが疑われますので、便検査を行なって潜血があるかどうか、あるいは膿汁粘液や細菌、さらには虫卵などの有無も確認します。

これらの検査を行なって痛みがどこから来ているのか目途をつけたら、今度は具体的にレントゲン検査や内視鏡検査に移ります。

痛みがある大腸疾患の主なもの

大腸の病気というのはすべてに痛みの自覚症状があるわけではありません。「痛みを感じる」場所というのは神経が通っているところに限られるわけですが、大腸内部の粘膜は痛みを感じない部位です。ですから大腸ポリープや大腸がんにかかっている人でも、初期のころは全く自覚症状も痛みもないということが多いのです。

大腸疾患の中でも痛みが顕著なのは「感染性腸炎」です。腹痛と同時に発熱や下痢、嘔吐などの症状が出た場合には、この病気がまず疑われます。ウイルスや寄生虫、細菌に腸管が感染して起こるのがこの病気ですが、時に激しい腹痛に見舞われることもあり、虫垂炎と間違われることもしばしばです。

感染性腸炎の原因となるのはサルモネラ菌や腸炎ビブリオ菌、大腸菌、ノロウイルスなどですから、あまり新鮮ではないカキや鶏肉、鶏卵、豚肉、牛レバーなどを食べた人は、腹痛に見舞われたらその旨を病院で伝えるようにしましょう。

病院では便の検査を行なって原因菌と潜血の有無を確認し、大腸内視鏡検査で腸内の様子を詳しく調べます。

下痢と便秘を繰り返す過敏性腸症候群も腹痛を伴う腸疾患です。これは細菌やウイルスなども特に検出されず、血液と尿検査の結果にも特に異常がないのが特徴で、排便の後に腹痛が治まるという特徴があります。ストレスが原因という説も多い病気ですが、大腸がんやポリープがないかどうかを確認する意味で大腸内視鏡検査を行います。食生活の改善やストレスを軽減することで症状が軽減することが多い病気です。

大腸憩室症は早期治療が大切

「大腸憩室(けいしつ)症」も腹痛に悩まされる病気のひとつです。大腸憩室症というのは大腸粘膜が外側に袋状に突出している状態のことです。腸管壁を貫いて外側にぽこっと飛び出した状態なわけですから、その部分に便がたまって細菌が繁殖すると感染を起こします。

この病気が上行結腸にある場合には腹部の右側、S状結腸にある場合には腹部左側が痛くなります。最初のうちはある一定の周期でお腹が痛みますが、ひどくなってくると絶え間ない痛みに襲われます。

憩室は大腸壁が物理的に変形している状態なわけですから、大腸内視鏡検査を行えば簡単にその位置と状態を確認することができます。大腸内視鏡以外にもバリウムや超音波(エコー)、CT検査などによって憩室の存在を確認することは可能ですが、出血をしている場合には大腸内視鏡によってどこからの出血なのかを確認する検査が行われています。

この病気は初期のうちであれば食事管理や抗生物質によって治療をすることができます。治療をしないで放置しておくと憩室に穴が開いて便が腹腔内に漏れていってしまいます。腹膜炎や結腸周囲炎の段階にまで行ってしまうと腹部の激痛などの症状が出てくるので要注意です。

日ごろから、ちょっとでも腹痛があったら「すぐに治るだろう」などと甘く見ないでできるだけ早く専門医に見てもらうことが大切です。

また、おへその左下が急に強く痛み出したら虚血性大腸炎の可能性がありますので、すぐに病院で診察を受けなければなりません。大腸内視鏡によってこの病気に特有のむくみやただれを確認することができます。

最後に

大腸に何か異常が起こると私たちの身体は下痢や便秘、腹痛などの形でそのことを知らせてくれます。大腸を検査するには大腸内視鏡検査以外にもエコー検査やバリウムを使った検査などがありますが、腸壁を直接見ることができるという点で内視鏡検査には大きなメリットがあります。

下痢や便秘になって腹痛に悩まされる経験は誰にでもあるものですが、この腹痛が繰り返し現れるようであれば、病院に行って検査をしてもらうのがいちばんです。

医師が内視鏡検査が必要と判断した場合には保険診療となりますので、費用もそれほどかけずに検査をしてもらうことができます。

関連する記事はコチラ