大腸内視鏡検査を受けると?見つけることができる病気4種類まとめ!

大腸内視鏡検査は、肛門から大腸内視鏡を挿入し、大腸の内側を観察する検査です。直腸から盲腸まで、大腸全体を詳細に調べることができ、外側からではなかなかわからない疾病の発見に役立ちます。現在の医学においては、大腸全体の検査として最も精度の高い方法と言えるでしょう。

ポリープなどの病変が見つかった場合には、病変部を拡大してテレビ画面に映し出して観察したり、病変部の組織を採取して病理診断を行ったりすることも可能で、疾病の早期発見に役立ちます。この記事では、大腸内視鏡検査をすることで発見できる可能性が病気を4つピックアップし、症状や治療法を詳しく紹介していきます。

内視鏡検査でわかる病気①大腸ポリープ

大腸内視鏡検査では、「大腸ポリープ」が発見されることが珍しくありません。ポリープとは、組織の一部がいぼのように隆起した状態のもの。大腸ポリープは、大腸の表面の粘膜層にポリープができている状態を指し、組織によって「非腫瘍性ポリープ」と「腫瘍性ポリープ」との2つに大別されます。

非腫瘍性ポリープには「炎症性ポリープ」「過行成性ポリープ」「過誤腫性ポリープ」などが含まれ、がん化する可能性がないため、経過観察となるのが一般的です。一方、腫瘍性ポリープは良性だと「腺腫」、悪性だと「がん」と分別されます。がんだと早急に治療が必要になるのはもちろんですが、腺腫も放置していると肥大してがん化する可能性が高いと言われているため、発見したら早めに切除することが重要です。

内視鏡検査で発見された腺腫は、基本的には検査中にそのまま切除することが可能です。おなかを切ることなく処置が行えるので、患者への負担も少なく、大腸がんへの進行を未然に防ぐことにつながります。大腸ポリープは、血便などの自覚症状が現れないことも多く、また外側からの診察では発見することができません。早期発見し適切な処置をするためには、大腸の内側を子細に確認できる大腸内視鏡検査が最も有効です。

ポリープが小さいうちに発見・切除することで大腸がんの予防になるため、定期的な大腸内視鏡検査が重要視されているのです。特に血縁で大腸ポリープや大腸がんの罹患経験がある人がいる場合は、定期検査を受けることをおすすめします。

内視鏡検査でわかる病気②大腸がん

今や日本人の2人に1人が「がん」にかかる時代と言われていますが、中でも「大腸がん」は、日本人の罹患率が非常に高いことで知られています。最新のがん統計を見てみると、2014年の全国の大腸がん罹患者数は男性3位、女性2位で、男女合計では1位となっています。

また、2016年のがん死亡データでは、男性3位、女性1位、男女合計2位という結果です。このように、日本人にとって大腸がんはかかる人が多いだけではなく、命を落とす人も多い恐ろしい病気なので、早期発見・早期治療が非常に重要です。

前項でも述べた通り、大腸がんの前段階とも言える大腸ポリープ(腺腫)は、内視鏡検査で発見・切除を行うことが可能なので、大腸がんの予防につながります。また、大腸がんも初期段階では自覚症状を伴わないことが多く、血便・腹痛・嘔吐などの自覚症状を感じる頃には、がんが大腸の粘膜の深いところまで浸潤していたり、がん細胞が他臓器に転移していたりと、ステージが進行してしまっていることも少なくありません。

進行性の大腸がんになってしまった場合、完治の可能性や生存率が低くなり、QOL(Quality Of Life=生活の質)が大幅に低下することも考えられます。もちろん、発見した時にすでに治療の施しようがない状態だった場合には、短期間で死に至ることもありえます。定期的に大腸内視鏡検査を受けることは、自分でも全く気付かないような早期の大腸がんの発見に、大いに役立ちますでしょう。

内視鏡検査でわかる病気③大腸憩室症

「大腸憩室症」も、大腸内視鏡検査を受けて発見されることが多い疾患の一つです。「大腸憩室」という言葉にはあまりなじみがないという方もいるかもしれませんが、全人口の10%程度に見られ、特に欧米では多くの罹患者がいると言われています。

大腸憩室自体は厳密にいうと病気ではなく、腸管内圧の上昇により、大腸粘膜の一部が袋状に外側に飛び出した状態のことを指します。一度できてしまうとなくすことはできず、飛び出した部分はずっとそのまま残ってしまいます。

この大腸憩室が多発した状態が、大腸憩室症です。特に症状が現れない場合もありますが、状態が悪化すると下痢・便秘・腹痛・下血などの症状を引き起こすこともあります。また、大腸ポリープの原因になるという説もあります。加齢により腸管壁が弱くなることが原因の一つとされ、比較的高齢者に多い病気です。更に、動物性脂肪過多・食物繊維が不足した食生活は便秘を引き起こし、腸管内圧を高めるため、憩室ができやすくなるとも言われています。近年、日本でも食の欧米化が進むにつれて、大腸憩室症の罹患者が増加傾向にあります。

症状がない場合は気付かれないことも多い病気ですが、大腸内視鏡検査では、くぼんだ状態の大腸憩室をはっきりと確認することが可能です。大腸憩室が発見された場合には、これ以上大腸憩室の数を増やさないよう、そして大腸がんなどの病気を引き起こさないように、生活習慣に気を配り、バランスのとれた食生活を心がけるようにしましょう。

内視鏡検査でわかる病気④潰瘍性大腸炎

「潰瘍性大腸炎」は、国の「特定疾患」に分類されており、現在はまだ明確な原因が解明されていない難病です。自己免疫疾患の一つとされており、何らかの原因で自分の免疫が大腸を攻撃してしまい、炎症を引き起こします。大腸内視鏡検査で観察すると、大腸粘膜がただれて「びらん」や「潰瘍」になっていたり、出血したりしている様子が確認できます。

潰瘍性大腸炎に罹患しても、特に症状がない人がいる一方で、慢性的に続く下痢や下血・腹痛などの症状に悩まされる人も多く、重症化してしまうと学校や職場に行けないなど、日常生活に支障をきたすこともあります。また、長期間治療をせずに放置してしまうと、大腸がんの原因になることも考えられるため、治療を継続し炎症を抑えることが大切です。

国内患者数は10万人を超えていると言われ、年々増加の一途を辿っているというデータもあるため、研究がさかんに行われています。現在は、定期的な通院や内視鏡検査を行いながら、内服薬で症状を上手にコントロールすることもできるようになってきました。日々の食事管理も有効とされ、大腸に刺激の少ない食事について、細かい指導を行ってくれる専門医も増えています。

潰瘍性大腸炎の好発年齢は20代とされていますが、若年層でも高齢者でも、年齢関係なく発症する可能性のある病気です。また、男女で罹患者の割合に差はありません。慢性的な下痢や下血・腹痛などに悩まされているという人は、早めに専門医を受診し、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

最後に

大腸内視鏡検査を受けることで発見できる可能性のある病気を、4つピックアップして紹介しました。今回紹介した病気以外にも、過敏性腸症候群、クローン病など、大腸内視鏡検査がきっかけでわかることの多い病気は多数あります。気になる症状がある人はもちろん、現在は特に症状がないという人でも、ある程度の年齢を超えたら定期的に大腸内視鏡検査を受けるのがおすすめです。

40歳を境に大腸がんのリスクがあがるとも言われているので、40歳を大腸内視鏡検査の定期検査をはじめる目安としても良いでしょう。ぜひ、大腸内視鏡検査を活用して、病気の早期発見はもちろん、日々の健康管理にも役立てていきましょう。