大腸内視鏡検査は苦痛なイメージがある?検査内容についてご紹介

大腸内視鏡検査には、どうしてもネガティブなイメージがつきまといます。
これまでに検査で痛みを感じたり事前の準備が大変だったりと、予想以上に大変な思いをした方々が多いからかもしれません。
しかし最近は技術の進歩や検査機器の品質の向上などに伴って、痛みの少ない検査ができるようになってきています。
大腸内視鏡ではどんな検査ができるのか、検査の内容や診断できる病気についてご紹介します。

大腸内視鏡検査は怖い?

大腸内視鏡検査に抵抗を感じる人が多いのは苦痛があるのではないかという不安とともに、肛門からカメラを入れるということに対する羞恥心や怖さを感じるからでしょう。
緊張や怖さ恥ずかしさを感じているとどうしてもおなかに力が入ってしまい、カメラが入りづらくなります。
それと同時に病気への不安があります。
もし怖い病気だったらどうしようと思うと、不安で胸がいっぱいになってしまうのではないでしょうか。
しかし最近では内視鏡検査の負担もかなり軽減されています。
もしも病気だった場合は、少しでも早く見つけて治療を始めることで治療期間や身体的負担を軽減することができます。
薬の服用だけで短期間で治せる病気を検査が嫌だからといって放置しておかないようにしましょう。
どんな病気も早いうちに見つけることができれば、治りも早くなります。
ところで大腸内視鏡検査では、どんな病気がわかるかご存知ですか?
大腸がんの検査として行われるイメージが強い大腸内視鏡ですが、他にもたくさんの病気を見つけることができます。
「便秘が続いている」、「下痢が多い」、「便秘と下痢を繰り返す」、「よくお腹がはったりお腹が痛くなる」、「血便が出たり便に血がついている」、「お尻を拭くとトイレットペーパーに血がついていることがある」、「便潜血検査で陽性が出た」、などの症状があるときは一度内視鏡検査を受けておくと安心です。
腸の疾患を検査する方法としては内視鏡検査は現時点で最も正確性の高いものだからです。
腸の内部を直接観察できるので、ちょっとした病変も発見することができます。
なにか重大な病気かもしれないと思うと、不安で気が重い日々が続きます。
それよりも一日も早く検査を受けて、気持ちをすっきりさせたいものです。

大腸内視鏡検査はさまざまな病変を発見できる

大腸内視鏡検査では腸にできたさまざまな病気が診断できますが、最も良く知られているのがポリープや大腸がんでしょう。
大腸は2mほどもの長さがあり、粘膜のある部分のどこにでもがんができる可能性があります。とくにS状結腸と直腸は、がんができやすい部分です。
がんは良性のポリープであることが多く、初期の段階で切除してしまえばがん細胞に変わる心配が無くなります。
大腸がんを早期発見するためには最も有効な検査です。
その他にも、次のような病気が発見できます。

・潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に炎症が起きて潰瘍やびらんができる病気です。原因は良くわかっていませんが炎症を抑えるための薬で治療します。症状として下血がありがんではないかと思ってしまうとどんどん不安が大きくなるでしょう。
最近増加傾向にある病気ですので、あまり怖がらずにまずは検査を受けてみましょう。

・クローン病
炎症によって腸に潰瘍ができる病気です。症状として下痢や腹痛が見られますが出血はあまりありません。
原因はわかっていませんが、治療法や薬は出てきています。

・虚血性腸炎

大腸への血液の循環が悪く必要な酸素や栄養素が十分に届かなくなるために、大腸粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。突然の腹痛や出血などがあり、高齢者や便秘がひどい若い女性に発症することが多い疾患です。

その他にも大腸憩室症や、大腸炎、過敏性腸症候群などの診断もつきます。
若い人でも腸の症状に不安がある場合は、この検査を進められることがあります。
検査によって病気の不安から解放されることの方が多いので、怖がらずに早く受けるようにしましょう。

大腸内視鏡検査当日の流れ

では実際に大腸内視鏡検査はどのようにして行われるのでしょうか。
まず検査を始めるまえに、大腸の中をきれいにするために洗浄液を飲んで腸内にたまっている便や排泄物を流します。
腸の内部をしっかり観察するために腸壁を洗い流すようなイメージです。
この前処置と呼ばれる事前準備が大変で、2リットル前後の大量の洗浄液か錠剤の下剤を飲むのがまずは第一関門です。
普段便秘がひどい方は、前日から便秘薬を飲む場合もあります。
1~2時間かけてこの腸の洗浄が終わり、便が透明になってきたらやっと検査が開始となります。
検査の前には腸の痙攣を抑える薬や鎮痛剤を注射や点滴で投与します。
その後は検査用のベッドに横になって肛門にゼリーを塗り、先端に極小さなCCDカメラがついたファイバーを挿入します。
この際腸を膨らませるために空気や炭酸ガスを入れていきますので、お腹の張りを感じてくると思います。
ほとんどの方はそれほど痛みもなく腸の奥まで内視鏡を進められますが、手術や内膜症などによる癒着がある方は痛みが強い場合があります。
その場合は医師に伝えて、鎮静剤を打ってもらうこともできます。
検査はまずカメラを大腸の一番奥まで入れて、その後ゆっくりと引き抜きながら腸壁の様子を丁寧に観察していきます。
全部で20分から30分程度で検査は終わりますが、ポリープが見つかった場合はその状態によってそのまま切除することもあります。
ポリープの状態や数によって、かかる時間は変わってきます。
これが一通りの検査の流れです。

検査はどのような内容?

検査を受ける際にはあまりにも不安感や緊張が強い、あるいは痛みがある場合には鎮静剤をあらかじめ使用して、ぼーっとしている間や眠っている間に終わらせることもできます。
病院によっては鎮静剤を一切使わない方針のところもありますので、心配なときは先に確認しておきましょう。
鎮静剤を使用せず意識がしっかりしている場合、検査の最中はモニターで自分の腸の中の様子を観察できます。
また医師と話しをしながら検査を受けられますので、心配なことや疑問なことは直接聞いてみましょう。
検査が終了したあとは、様子を見ながら帰宅します。
検査中に鎮静剤を使用した方は、しばらく院内で様子を見ながら休み麻酔がさめてからの帰宅となります。
おおむね1時間程度です。車やバイクの運転もこの日はできません。
また検査中にポリープを切除した方は、医師からの詳しい説明がありますので指示は必ず守ってください。
飲酒や入浴、激しい運動は避けて安静にすることが必要です。
刺激の強いものを飲んだり食べたりするのも禁止です。
消化の良い物を食べて、腸に負担をかけないようにしましょう。
苦痛が多く検査中も大変なイメージが強い大腸の内視鏡検査ですが、病院選びさえ間違えなければ心配していたよりも案外あっけなく終わったという方も多いので、それほど不安がらなくても大丈夫です。
また洗浄液を飲む前処置も条件さえ整えば自宅でできるという病院も多いので、自分にとってよりラクな方法を考えてみてください。

大腸がんだけでなく大腸のさまざまな疾患を調べられる内視鏡検査は、現時点では最も正確に病状を把握し適した治療をすぐに始められるという大きなメリットがあります。
最近は腸活という言葉も社会に根付き、腸の健康を真剣に考える人が増えてきました。
身体全体の健康のためにも腸はとても大切な場所です。
不安を抱えたまま生活するのはやめにして、早めにしっかりとした検査を受けておきましょう。