大腸内視鏡検査は痛い?痛みを感じる原因について

大腸内視鏡検査に対するイメージは、他の検査に比べてもあまり良くありません。痛いとか、苦しいという印象が強いからです。実際に検査を受けた経験のある方の中にはもう二度と受けたくない、本当にひどかったという感想を語る方もいます。
その反面、思っていたよりラクだった、胃カメラより簡単だったという方もいます。その違いはどこから生まれるのでしょう。大腸内視鏡検査が痛いと言われる理由、どうすればもっとラクに検査を受けられるのかを探ってみます。

大腸内視鏡検査が痛いと言われる理由

大腸内視鏡検査が痛いと言われるのには主に3つの理由があります。1つは内視鏡を挿入するときに腸が伸ばされることによる痛み、2つめは送気によって腸が膨らみ、張ることによる痛み、3つ目は癒着などがあり腸が曲がっているために起こる痛みです。

1つめの腸が伸ばされる痛みですが、これには内視鏡の挿入技術が大きく関わっています。熟練の医師、経験の多い医師では内視鏡の操作の技術が優れているため、無理を生じないようにカメラを腸の奥まで挿入することができます。ところがまだ経験の浅い医師ではなかなか思うように操作ができず、腸を引き伸ばしてしまうことがあります。

この際に激しい痛みを感じる場合もあり、何度か検査を経験している方では医師によって大腸内視鏡検査の痛みは天と地ほど違うというほどです。内視鏡挿入時の痛みの多くはS状結腸に挿入するときに起こると言われています。

S状結腸はどこにも固定されていないのでぶらぶらと動くようになっていて、ここを進めていくときに引き伸ばされ痛みを生じるのです。これが経験豊富なベテランの医師となると検査中はカメラがどこに入っているかわからないくらいまったく痛みがないと言います。

2つめは内視鏡で腸の内部を観察するときには送気といって空気を入れて腸を膨らませて行いますが、送気が多いとそれだけ腸がパンパンに張った状態になって痛みを感じます。

そして3つめは、それまでの手術や病気によって癒着が起きているときなどに起こり女性では内膜症なども原因になります。

これらの理由から大腸内視鏡検査にはどうしても少なからず苦痛が伴うことも多くありましたが、最近では以前に比べるとかなり痛みも少なくラクに検査を受けることができるようになってきています。

検査時の痛みを軽減させる技術や工夫

大腸内視鏡の検査があまりにも苦痛が伴うものだと大きなマイナスが生じてしまいます。それは検査の必要な人たちが検査を受けることを敬遠してしまうことに繋がることです。もし一度でもひどく痛い思いや怖い思いをしたら、その人は二度と同じ検査を受けたくないと思うでしょう。またその話しを聞いたひとたちもできることなら大腸の内視鏡検査は受けたくないと思うようになります。

しかし早期発見で治るはずだった大腸がんが検査を敬遠しているうちに進行してしまい、完治が難しくなるような結果になっては取り返しがつきません。そのため各病院や医師は少しでも検査を受ける患者さんの負担が少なくなるように、さまざまな取り組みをしています。

そのひとつが浸水法による内視鏡の挿入です。普通大腸の検査の際は内部を膨らませるために空気を入れますが、変わりに水を入れるという方法です。この方法のメリットは腸が膨らみにくいために痛みが少ないことです。

直腸とS状結腸の中の空気を完全に抜きつつ水を入れると、ほぼS状結腸を伸ばすことなく内視鏡を挿入することができ、痛みはほとんどないと言います。過去の手術による癒着などがなければ、まったく麻酔をしなくても検査ができることになり、患者さんの苦痛や負担も大幅に軽減します。浸水法による内視鏡検査はどこの病院でも受けられるわけではありませんが、少しずつ導入する病院も増えています。

精神的なものからくる痛み

ご紹介した浸水法の他にも、S状結腸を伸ばさず痛みを出さないように内視鏡を侵入させる技術の工夫や、器具なども開発されています。また空気の変わりに二酸化炭素(炭酸ガス)を送気に使うことで、検査後の不快感や苦痛を減らす方法を取り入れている病院もあります。二酸化炭素であれば腸管内ですぐに吸収されるため、空気を入れた時のような苦しさはありません。

内視鏡自体も研究・開発が進み、より柔らかく極細で、弾力性を調整できるファイバーが登場しています。こうした最新の検査機器や技術で、最近は大腸内視鏡検査もかなりラクに受けられるようになってきました。

しかしもう一つ痛みの大きな原因になっているものがあります。それは検査を受ける側の患者さんの緊張や恐怖心です。特に緊張を感じやすい人や心配性の人、普段から痛みに弱い人などは、不安と恐怖で身体がガチガチになってしまいます。いくら「痛くないから大丈夫、リラックスして」と言われても、強い緊張のもとでは自分でもどうにもなりません。

緊張すればするほど、内視鏡の挿入も難しくなります。気をそらそうとすればするほど、また心配すればするほど、痛みを強く感じやすいというのは誰でも経験したことがあると思います。この状態で無理に検査を進めようとしても少しでも痛みを感じるとそれが原因となってもっと緊張し、さらに検査が困難になるという悪循環にもなります。

このような場合は無理をせずに、鎮静剤などで意識レベルを下げてもらう、または眠っている間に検査を終わらせてもらうなどの方法で苦痛をやわらげる方法を選ぶといいでしょう。

麻酔は必要?するべきか避けるべきか

緊張や不安感が強い人には、鎮静剤を使って検査をするほうが良いこともありますが、鎮静剤は軽い麻酔です。麻酔を使って検査をすることには、メリットもデメリットも両方が存在します。そのため病院によっては、基本的に全ての患者さんに麻酔を使用しないで検査を行っているということもあります。

麻酔を使用することで痛いという身体からの警告を感じられなくなるため、医師に状態が伝わりにくく最悪腸に穴が空いてしまうという危険性が高くなるというのが非常に怖いリスクです。また麻酔によって意識が低下していると、医師の説明を受けてもボンヤリしていて理解や判断ができません。

眠っている間の検査となると、全て終わってからの説明となり、その場で質問すらできないのです。もし病変があったとしても、その場で確認しながら検査を受けているときのリアリティには遠く及びません。さらに麻酔をかけると検査終了後も車やバイクの運転ができないので、誰かに付き添ってもらうか送り迎えが必要となり、一人で最初から最後まで検査を終わらせて、そのまま帰るということもできません。

もちろん検査にかかる費用もそれなりに高くなります。もし我慢できる程度の痛みであり意識がしっかりとしたまま検査を受けられるのであれば、やはり麻酔は使わない方が望ましいと言えるでしょう。意識が普通にあればその場で色々と医師に質問することもできますし、病変があった場合も自分でその場で確認しながら、判断することができます。

麻酔を使用しなくても、鎮痛剤の投与である程度の痛みは抑えられます。また途中から麻酔の注射をすることもできます。鎮静剤を使うか使わないかは、最終的には本人の判断です。不安な場合は担当の医師とよく相談して決めるようにしてください。

痛くて辛い、そんな大腸内視鏡検査のイメージも、少しずつ変わりつつあります。いくら重要な検査だと言われても苦痛があまりにも大きければやはり避けてしまうのが人間です。もしどうしても不安であれば、病院のホームページや口コミなどを参考に、不安が軽減できる病院や検査機関を探してみてはいかがでしょう。
充分に納得した上で検査を受けることができれば、安心して検査当日を迎えることもできるのではないでしょうか。