大腸内視鏡は痛くない!苦痛のない検査方法とは?

これから初めて大腸内視鏡検査を受ける人の中には、検査の仕組みなどがわからずに、検査中の痛みが強いのではないかと怖がっていたり不安を覚えている人もいるでしょう。また過去に大腸内視鏡検査を受けた人の中には、痛みがひどくてもう二度と受けたくないという人もいます。
大腸内視鏡検査に使用する機械は、医療技術の発達により以前よりもコンパクトな設計になっていますし、投薬により検査中の痛みを和らげることもできるようになっています。

今回は大腸内視鏡検査時の痛みの原因や、痛みのない大腸内視鏡検査方法などについて解説してきます。

大腸内視鏡検査の痛みの原因とは?

現在、大腸内視鏡検査で使用している専用の内視鏡は、以前よりも細くなっており挿入しやすくなっています。そのため挿入時の痛みは比較的少ないのですが、腸内に入ってから痛みを感じることがあります。大腸内視鏡検査時に痛みを感じる理由には次のようなものがあります。

内視鏡が腸壁にぶつかってしまう

大腸は長い臓器で、体内では曲がりくねっています。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内部を観察しながら少しずつ奥に進めていきますが、U字などのカーブ部分に内視鏡がぶつかってしまい痛みを覚える方が多いです。

ガスでお腹を膨らませすぎて痛みがでる

大腸内視鏡検査では、大腸内にガスや空気を送りながら行います。これはなぜかというと、大腸を膨らませたり縮めたりしながら内視鏡を進めていくことで、病変部を見つけやすくするためです。しかしガスを入れてお腹が膨れたときの痛みの感じ方は個人差があり、いったん痛みを感じ始めると次第に痛みに敏感になってしまう傾向にあります。

S状結腸が長い・大腸内に癒着している部分がある

腸の形状や長さは人それぞれで、S状結腸が長いと内視鏡を挿入しにくいため腸壁にぶつかりやすいです。また大腸内に癒着している部分があると、大腸カメラの通り道が狭くなるため癒着部分に触れやすくなるので痛みを感じやすくなります。

緊張して体に力が入ってしまう

大腸内視鏡検査を受けるときに不安や緊張感が強いと、自然と体に力が入ってしまいます。お腹に力が入ってしまうと、カメラを挿入しにくく、カメラを入れることに痛みや苦痛を感じやすくなります。

大腸内視鏡検査は医師によって痛みの有無がある?

大腸内視鏡検査はどの医師が行っても痛みがあると思っている人が多いですが、実は医師によって痛みの感じ方が異なります。これはなぜかというと、内視鏡の挿入は一定レベル以上の技術が要求される検査だからです。

大腸内視鏡検査を行うときは、大腸内は空っぽの状態で真っ暗です。大腸の奥まで内視鏡を送るためには、内視鏡の先端についているライトで大腸内を照らして、腸壁にぶつからないように進めていく必要があります。内視鏡についているカメラの映像を見ながら手探りで行う作業となるので、熟練した技術がないと内視鏡を腸壁にぶつけてしまうことが多いです。大腸内に癒着がある場合でも、奥までしっかりと見なければいけないため、経験不足や技術力のない医師にあたると痛みを感じる人は多い傾向にあります。

また、内視鏡を奥へ進めるときはガスなどを入れて大腸を膨らませたり縮めたりしながら進めていきますが、大腸内視鏡検査に慣れていない研修医などが行う場合、大腸内に送るガスの微調整の感覚がつかめていないということもあります。
さらに経験不足な研修医の場合、内視鏡を進める部位によって体の向きを変えることや、助手への補助の指示などに慣れていないため、検査がうまく進めることができず、不安を覚えて体に力が入ってしまい、その結果痛みを覚えてしまうというケースも多いです。実際に何度か大腸内視鏡検査を受けた人の多くは、担当医の技術レベルによって痛みの有無や、大腸内視鏡検査にかかる時間が変わるという人が多い傾向にあります。

痛くない大腸内視鏡検査方法とは?

大腸がんやクローン病などの難病発見のためにも重要な大腸内視鏡検査は、一般的にはガスや空気を注入しながら行います。しかし患者の痛みや負担が少ない方法として、「浸水法」や「二酸化炭素の使用」、「鎮痛剤の使用」などといった方法が使用されるようになってきました。病院や施設の設備によって使用できる方法は異なるので、具体的な検査方法は事前に確認しておく必要があります。大腸内視鏡検査で痛みの少ない・痛くない検査方法は次のようなものがあります。

特殊な内視鏡を使用する

お腹の手術歴があったり大腸内で癒着している部分があったりする場合は、柔らかい素材を使用し通常よりも細い特殊な内視鏡を使用することで痛みを感じにくくなります。

鎮痛剤や鎮静剤の使用

大腸内視鏡検査は挿入時に痛みが少ないですが、これも個人差があります。検査時に鎮痛剤や鎮静剤を使用することで、うとうととしている状態で痛みを感じずに検査や処置を終わらせることができます。

二酸化炭素の使用

一般的に使用されているガスの代わりに、大腸で吸収されやすい二酸化炭素を使用する方法です。通常のガスよりも消失する時間が早いため、お腹が張ることで感じる痛みを緩和することができます。

浸水法

一般の検査はガスや空気を入れて大腸を膨らませます。浸水法ではごく少量の水を入れることで内視鏡の視野を確保することで、大腸を必要以上に引き延ばすことがなく痛みや張りを感じにくいです。

UPD

医療機器の中でもハイテクな部類にはいる「UPD(内視鏡形状観測装置)」という機械を併用する方法です。この機械を使用することで、体内にある内視鏡の形状をモニターに投影することで必要以上に大腸を引き伸ばすことを防ぎ、痛みを和らげることができます。

大腸カプセル

大腸カプセルはチューブ状の内視鏡ではなく、カプセル型の内視鏡を服用して行う方法です。大腸内の炎症がひどかったり、癒着があったりする場合や腹部の手術歴のある人が使用することが多いです。薬のように口から飲み込んで約8~10時間かけて大腸内を撮影し、検査後に排便で体外へと排出します。

大腸内視鏡検査で痛みを感じたほうが良い理由とは?

大腸内視鏡検査を受ける患者側としては、痛みやお腹の張りは極力避けたいものです。しかし痛みがないことでデメリットがあることを知っている人は少ないです。なぜ痛みがないことがデメリットになるのでしょうか。

  • 鎮痛剤などを使用すると眠気に襲われることが多く、検査時にリアルタイムで大腸の内容を見てもらえない
  • 検査時に使用する薬剤などのアレルギー症状がわかりにくい
  • 痛みがないことで検査のときのトラブルの発見が遅れる

大腸内の状態によっては、検査中にモニターに映し出された画面を使って、本人に状態などを伝えることがあります。しかし痛みを抑えるために鎮痛剤や鎮静剤を使用すると、眠気が出てうとうとした状態になる人が多いです。このような状態ではきちんと話が伝わりにくく、人によっては熟睡してしまうため検査中に全く会話できないという状態になってしまうこともあります。

大腸内視鏡検査のときに鎮痛剤などで痛みをなくしてしまうと、検査時に使用する薬剤でアレルギー症状が出たときや、内視鏡で大腸内を傷つけたり、お腹を膨らませすぎたりして危険な状態になっているのに本人が気付きにくいというデメリットがあります。患者本人が痛みを訴えないために、医師や看護師は危険な状況を把握にくくなるためです。

大腸内視鏡検査で感じる痛みは個人差があり、内視鏡の挿入難易度も人それぞれです。極度に痛みを感じる場合は仕方ありませんが、痛みを感じないリスクをきちんと把握したうえで、鎮痛剤や鎮静剤などを使用するか考える必要があります。

これまでの大腸内視鏡検査は痛みを伴うことが多く、検査を受けた人の中には二度と受けたくないという人もいます。しかし痛みの原因は医師の技術力不足や、大腸の長さ、緊張して力が入ってしまうとさまざまな要因があります。
傷みをなくすために鎮痛剤や鎮静剤を使用する医療機関は多いですが、痛みをなくすことで危険な状態になっているのを把握しにくいというデメリットがあります。

医療技術の発達にともない痛みの少ない検査方法や痛くない大腸内視鏡検査もありますので、自分の希望にあった方法で大腸内視鏡検査を行える病院を選びましょう。