大腸内視鏡検査後に出血してしまうことはある?

「大腸内視鏡検査は早めに受けた方が良いと聞くけれど、具体的にどんな症状があったら大腸内視鏡検査を受けたら良いのだろう?」「大腸内視鏡検査を受けたことで合併症になるリスクがあると聞いて不安」このような大腸内視鏡検査に対する疑問を持っている人は少なくありません。大腸内視鏡検査は、身体に少しの変化があると感じたらすぐに受けるのがおすすめです。病気にならないように予防できたり、早くに病気に気づいたりすることができます。また、しっかりと内視鏡検査の流れや合併症について理解していれば、不安なく受けることができます。今回は、そんな大腸内視鏡検査についてや、受けた後の出血について紹介します。

こんな症状の時は大腸内視鏡検査を!

症状別に、内視鏡検査を受けたほうが良い理由を見ていきましょう。

「よく便秘になる」
便秘の原因の1つに大腸がんがあります。進行した大腸がんは便の通り道を狭くするため、便がスムーズに通りづらくなるためです。しかし、便秘は大腸がんだけではなく加齢や運動不足が原因の場合もあり、さらに糖尿病や甲状腺など他の病気によって引き起こされている場合もあります。

「下痢が多い」
大腸がんになると便の通り道が狭くなり、便秘になる場合もありますが、狭くなったことで便が滞り数回に分けて便意を感じることがあります。このような大腸がんによる症状を、下痢と感じている人も少なくありません。

「便が細くなった、太い便が出なくなった」
大腸がんによって直腸からS状結腸あたりが細くなると、便が普段よりも細くなることがあります。このような場合も大腸内視鏡検査を一度受けてきた方が良いでしょう。

「お腹が時々痛む」
初期の大腸がんやポリープは痛みを感じることがほとんどありませんが、大腸がんがかなり進行した状態では痛みを感じることがあります。

「よくお腹にガスが溜まっている感じがする」
大腸がんが進行すると、便の通りだけではなくガスも通りづらくなります。お腹が張る症状が続いている場合は大腸がんの可能性も考えられます。

「排便した時に出血があった」
排便した時に便に血がついている時、痔と自己判断する人も多いのですが、大腸がんやポリープからの出血も考えられます。

「健康診断で貧血と言われた」
大腸内の出血病変が悪化すると、貧血症状が出る場合があります。特に大腸がんなどの場合は時間をかけて出血が進行するため、身体の症状に出づらいので、気をつけましょう。

大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査で肛門から入れるカメラ(大腸スコープ)には、大腸の中に残っている液体を吸う吸引口があります。水状のものは吸引することができますが、大きい便や固まりは吸引できません。したがって大腸内視鏡検査当日は、大腸の中がきれいになっている必要があります。

そのため、大腸内視鏡検査前日は、医院で指定された食事をしてもらったり下剤を服用してもらったりして、大腸の中を検査しやすい状態にします。指定された食事は大腸検査食と呼ばれ、食べても大腸の中にカスが残らないようになっており、下剤の服用量を少なくすることができます。

検査当日、起床後にコップ1杯の水を飲むと脱水予防になるのでおすすめです。また、普段から服用している薬がある場合は、事前医師に確認しておきましょう。

大腸の中をきれいにする薬は人に合わせて様々な種類があります。一般的には1Lほどの薬を1時間ほどの時間をかけて服用し、その後お水やお茶を500mlほど飲みます。服用中、吐き気や腹痛、蕁麻疹などの普段と違う体調の変化が見られた場合は、すぐに医師や看護師に相談しましょう。

大腸の中をきれいにする薬を服用した後は、数回にわたって液状の排泄があるのでトイレに通ってもらいます。徐々に水状の排泄へと変わり、2時間ほどで便通は収まります。

その後検査室にて大腸内視鏡検査を受けます。検査内容によって変わりますが、20分程度で終了します。検査後は状態が安定するまで休息をとってもらいます。

出血は大腸内視鏡検査の合併症の1つ

大腸内視鏡検査を行った時に発生する可能性のある合併症は大きく分けて2つあり、そのうちの1つが出血です。

1つ目は、ポリープや大腸がんの切除のために使用した高周波電流による穿孔です。穿孔とは、大腸の壁に穴が開いてしまった状態です。大腸内視鏡検査で大腸の中にポリープや早期大腸がんを発見した時、内視鏡の先につけたループ状のワイヤーをポリープや早期大腸がんにかけて締めます。そしてワイヤーに高周波電流を流し、病変部を焼き切ります。この処置の時に、ポリープや早期大腸がんの大きさや深さによっては、大腸の壁がやけどを負ってしまう場合があります。大腸の壁は薄いため、このやけどによって壁に穴が開いてしまうのです。

穿孔が起こると、その穴から便や腸液、ガスなどの腸の内容物がお腹の中に漏れ出してしまいます。この漏れでている状態をそのままにしておくと、腹膜炎と呼ばれる命にかかわる状態を引き起こしてしまう可能性もあります。

穿孔が確認された場合、多くは開腹手術(お腹を切って開ける手術)が必要になります。しかし、開いた穴の場所や大きさ、お腹の状態によっては数日間の絶食で治ることもあります。

2つ目が出血です。大腸内視鏡検査でがんを切除する場合、がんには栄養を運ぶ血管が発達しているので、がんを切り取る際、出血が生じます。がんを切除する時に使用する高周波電流は、がんを切り取りながら止血も同時におこなうため、通常、出血はごく少量です。しかし、がんに太い血管が発達していた場合、予想外の出血量が生じる場合があります。

大腸内視鏡検査で出血した後の処置

大腸内視鏡検査でポリープやがんが発見された場合、内視鏡を用いて切除することがあります。内視鏡の先についているワイヤーをポリープやがんの根本にかけて締め、高周波電流で焼き切ります。この処置を行う時、病変に大きな血管が含まれていると大きな出血につながる可能性があります。

出血が高周波電流で止血できない場合は、止血用のクリップで出血を起こしている血管を挟んで止血を行います。また、高周波電流が流れるピンセットのような器具で血管を掴んで焼き固めたり、エタノールなどの止血剤を出血部位に注入したりします。これらは内視鏡を入れたままで行える止血方法です。

しかし、これらの内視鏡での止血処置で出血が止まらない場合は、止血のために開腹手術を行う場合もあります。またポリープなどを切除する際、大腸の壁は高周波電流によってやけどを負います。このやけどは切除後数日たつと、潰瘍になり切除した時よりもある程度大きな傷になります。

大きくなった傷に血管があると、そこから出血することがあります。出血は切除後3日目あたりに起こることが多いのですが、切除後1〜2週間経過してから起こることもあります。大腸内視鏡検査で切除術を受けた場合は、術後に出血がないかどうか注意しておきましょう。

出血が見られた場合は、再度大腸内視鏡検査を受けて止血を行う必要がでてくる場合があります。したがって、出血を予防するために、ポリープなどの切除術後は身体に負担のかかることをしたり、アルコールを摂取したりすることは控えるようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか?大腸内視鏡検査を受けた方がよい症状について紹介しましたが、当てはまる症状はありましたでしょうか。もし、1つでも当てはまる症状があれば早めに大腸内視鏡検査を受けにいきましょう。

大腸内視鏡検査の流れや検査による合併症についての理解を深めることで、大腸内視鏡検査への不安や抵抗を減らすことができます。また大腸内視鏡検査でポリープや大腸がんを切除した時は多少の出血があることやその後の処置の内容を知っておくことで、心構えができた状態で大腸内視鏡検査を受けることができるでしょう。