大腸内視鏡検査に限らず、いろいろな検査を受ける上で気になるのが、「痛みがあるかどうか」です。健康診断で重要なことの一つとして、定期的に受けることが挙げられますが、痛みがあると気が進みませんよね。そういったときに活躍してくれるのが麻酔です。
麻酔は、検査の際に受ける痛みを軽減してくれるため、適切に使用することで、不安や恐怖、体にかかる負担を最小限に留めることができます。こう聞くととりあえず麻酔を使っておけばよいのでは?と思うかもしれませんが、副作用もあるので使用するかどうかは慎重に決めたた方が良いでしょう。では、どのような基準で決めればいいのでしょうか?
目次
最初に確認!病院への移動手段は何?
大前提として、住んでいる場所や家族構成によって、麻酔が使えるかどうかが変わります。絶対に使用できないわけではないものの、かかってくる負担に大きな差があるためです。その主な理由は移動手段の違いにあります。
麻酔の特徴として、眠気やだるさをはじめとした体調不良が残ることがあります。そのため、当日は自分で車を運転して帰ることができません。
都会の病院であれば、電車やバスなど、公共交通機関が充実していますが、田舎の病院だと近くに駅やバス停がないことも珍しくありません。田舎でも、近くの駅までシャトルバスを出して、病院までのアクセスを良くしているところがありますが、自分の家の近くまで公共交通機関での移動ができることは稀です。
田舎の病院でも、家族が一緒に住んでいれば送り迎えを頼むことができますが、仕事を休んでもらったり、一日中検査のために予定を空けて貰ったりする必要があるため、本人にも家族にも負担がかかります。特に、送迎や付き添いのために家族に一日中予定を空けてもらうのは、なんだか申し訳ないですよね。
上記の理由から、都会に住んでいる人は一人暮らしでも時間さえしっかり確保できれば、比較的気楽に麻酔を用いた検査を受けることができます。また反対に、田舎に住んでいると、いろいろな人の協力を得なければ麻酔を用いた検査は受けにくいと言えます。
麻酔を使った大腸内視鏡検査の実施を考える際には、まず、病院や自宅の立地、家族の都合を確認しましょう。
麻酔を使った検査のメリット
大腸内視鏡検査を受ける際に麻酔を使った場合のメリットは、痛みが出にくいということにつきます。
え?それだけ?と思われるかもしれませんが、非常に重要なことです。痛みがあると、体や精神に負担がかかるだけでなく、体がこわばったり、身をよじったりしてしまい、余計に検査にかかる時間が増えてしまうこともあります。ただでさえ痛い思いをしているのに、さらにその時間が長くなるのはとても辛いですよね。そんな不都合をなしにしてくれるのが、麻酔です。
痛いと、次にまた受けるといったときに不安や精神的な苦痛を感じたり、受けること自体をやめてしまったりと、定期的に受ける必要のある大腸内視鏡検査には、多大なデメリットになってしまいます。痛みや怖さを感じることなく、受けるときに負担が少ないというのは、病気の発見のために重要です。
また、痛みは検査が最後までできるかどうか、といったところにも関係してきます。それは、思っていた以上に痛みが強く、我慢できなかったり、血圧が下がったり、気分が悪くなってしまったりといった理由で検査を中止せざるを得なくなってしまうケースがあるためです。
大腸内視鏡検査を痛みなしで終えられるかどうかは、医者の腕や自分との相性、自分の体質など、いろいろな条件で変わってきます。しかし、麻酔を使用すれば、痛みを感じることなく検査を終わらせることができます。
麻酔ありの検査は、一度麻酔なしの検査を経験して耐え難い痛みを感じたという人にとって、非常にありがたい方法と言えるでしょう。
麻酔を使った検査のデメリット
痛みを避けたい人にとっては非常に魅力的な麻酔ありの検査ですが、残念ながらデメリットも存在します。箇条書きにすると、デメリットのほうが多く感じるくらいです。
まず大きな特徴として、寝たような状態になるために自分で検査内容を確認することができず、感覚を伝えられません。痛みをなくすために薬で体のいろいろな感覚をぼんやりさせるので、途中で説明されても内容が理解することが難しい状況に陥ります。そのため、基本的には先に全部検査を終わらせて、目が覚めてからまとめて話を聞く形になります。
麻酔なしの検査であれば、リアルタイムで画像を見ながら説明を受けることができます。また、気になる部分があれば進みを止めてよく見せてもらったり、痛みを伝えて進入角度を調整してもらうことで、より安全に検査を進めたりすることができます。しかし、麻酔を使った検査では、これらのメリットを受けることができません。
次に、費用面での負担増加が挙げられます。麻酔を使うためには、麻酔の薬だけでなく、点滴や検査中の体の状態を監視する機器、麻酔医など、様々なものや人員を用意する必要があります。当然、それに伴って掛かるお金も麻酔なしの検査より高くなるのです。
さらに、アレルギーや後遺症が生じる可能性も考えなくてはなりません。数は少ないながらも、麻酔で使う薬に対してアレルギー症状が出てしまい、検査どころではなくなる例もあります。また、麻酔が効きすぎて酸素の供給がうまくいかなくなり、低酸素脳症という後遺症が残る可能性もあります。後遺症が残るとまではいかなくても、目が覚めた後にしばらく不快感や眠気が続くこともあります。
使った方が検査を受けやすいのはどんな人?
1~2年に一回なら、リスクを冒してまで痛みを消すことに固執しなくても良いのではないかと考える人もいるでしょう。あるいは、お金を節約するために、初めから麻酔ありの検査は選択肢に入れていない人もいるかもしれません。麻酔のありなしを決める理由は人によって様々です。しかし条件によっては、そのリスクや金銭的な負担を負ってでも、麻酔ありの検査を選んだほうが良い場合もあります。
まずは、一度麻酔なしの検査をしてみて激痛に耐えられなかった人。デメリットを避けたいと麻酔なしを選択しても、痛みのせいで二度と検査を受けたくない、となってしまっては、病気の早期発見のため定期的な検査を受けるといった目的を果たすことができなくなります。
また、恐怖や不安を強く感じて検査の実施に踏み切れない人も、麻酔の使用を検討した方が良いでしょう。痛いかもしれないから受けたくない、どうしても踏ん切りがつかないといった場合は、麻酔で痛みがなくなることが大きな後押しになってくれます。
その他、腸の形状によって痛みが出やすいといった人も麻酔ありの検査を選択肢に入れた方が最後までしっかり検査を受ける可能性が高くなるでしょう。どんなに上手な医者に検査をしてもらっても、腸の状態によっては痛みを感じずに検査をすることが難しい場合があります。腸に対して検査用の器具が太いなど、理由は様々ですが、どうしても痛みを避けられないなら、我慢せずに麻酔に頼って検査をしましょう。
体を大事にするための検査なのですから、なるべく負担が少なくなるように方法を選ぶことが大切です。
麻酔ありの検査、麻酔なしの検査、どちらにも良いところや悪いところがあるため、結局どうすればいいの?と思うかもしれません。どうしても決められない場合は、一回麻酔なしで検査をやってみて、だめなら次から麻酔ありを試してみる方法がおすすめです。
その検査で受けたのが、我慢できる範囲の痛みであれば次も麻酔なしの検査、どうしても耐え難い痛みがあれば麻酔ありの検査と、次からの検査をどうするか決めやすくなります。
何より大切なのは、定期的に検査を受けることです。自分の体質や環境から、継続していきやすい方法を選ぶようにしましょう。