近年、大腸ガンに罹る人が増えています。日本人の死亡原因のランキングでは、常に上位に挙がっていることはよく知られています。大腸の内視鏡検査は、大腸ガンの早期発見に非常に有効な検査です。でも、いざ自分が受ける時、たくさんある病院の中からどの施設を選んだらいいのかわからなくて、迷う方も多いでしょう。
大腸内視鏡検査を受ける施設について、良し悪しはどうやって見分けたらいいのでしょうか。また、いくつか候補がある場合、何を基準にして選んだらいいのでしょうか。そして、検査時に鎮痛剤を使用する病院もあるようですが、鎮痛剤を使うメリットとは何なのでしょうか。これらの疑問について、患者目線で徹底検証します。
目次
検査を快適に受けるための6つの条件とは
大腸内視鏡検査を受ける時、どんな条件が揃っている場所だったら「いい施設」と言えるでしょうか。
①検査数の実績が豊富
施設の情報を見た時に、大腸内視鏡検査の検査実績数が豊富な病院は、いい施設と言えるでしょう。検査数が豊富ということは、医師も看護師も検査に慣れており、必要なサポートが受けやすいからです。
②大腸肛門科がある もしくは専門家医が在籍している
大きな総合病院でも小さなクリニックでも、大事なのは「専門性があるか」です。特に「肛門科」がある病院は専門性の高い施設と言えるでしょう。肛門科がなくても、内視鏡検査の専門医が在籍していれば、専門性は高く検査数も多いのでポイントになりますね。
③医師の技術が高い
これは、病院の検査実績数にも関係してきますが、医師本人の技術力が高いことがいい施設の条件であることは言うまでもありません。実績数だけでなく、それまでどんな施設でどのような経験を積んできた医師なのかも大切です。特に、個人病院は院長のプロフィールが詳しく書かれているところもあるので、チェックしておきたいですね。
④口コミ数が多い
その施設で、実際に大腸内視鏡を受けたことがある患者さんの口コミほど心強いものはないですよね。医師や看護師の対応、検査の流れや痛み・苦痛の有無、施設の規模や清潔感など参考にしたいですね。
⑤痛みのない検査をしている
検査を受ける前に誰もが気になるのが、「その検査は痛いのか?」ということでしょう。痛みのない・苦痛のない検査を実施している施設で受けたいですよね。痛みのない検査を実現するために必要に応じて、鎮静剤や鎮痛剤を使用している施設が多いです。
いい施設を探すためのチェック項目4つ
では、実際に施設を選ぶ時は、何をチェックしたらいいでしょうか。チェック項目は以下の4つになります。
①病院の検査実績
検査実績数は地域によって多少差がありますが、やはり検査の実績が多い施設ほど安心して受けられると言えます。最低でも大腸内視鏡検査の実績が2000件以上ある施設を選びましょう。また検査実績だけでなく、早期ガンの切除数も公表している施設は、早期ガンの発見率が高く、同時に医師の技術力が高いと言えます。
②医師の経歴
検査を実施する医師のプロフィールの記載があればぜひチェックして下さい。そこに「日本消化器内視鏡学会専門医」という記載がある場合があります。これは、厳格な研修や試験を通過した医師だけが受けられる認定制度なので、これがあれば安心して任せられる専門医だと言えるでしょう。
③ウェブサイトの見やすさ
昨今、ウェブサイト(ホームページ)のない病院はほとんどありません。でも、ウェブサイトがあっても「必要な情報がどこにあるかわからない」と困ったことはありませんか?いい施設は、患者目線をきちんと持っています。検査を受けようと思っている人がどんな情報が欲しいのか、それらを見越して、誰が見てもわかりやすいサイトを用意しています。
④口コミを探す
施設のウェブサイト内に「患者さんからの声」というような、検査後のアンケート結果が見られるようなページがあると確実です。その中で、実際に大腸内視鏡検査を受けた人が書いたものを探しましょう。特に「痛みの有無」「医師や看護師の対応」「施設内の清潔感」は、公式サイトの説明だけではわからないことなので、チェックして見て下さいね。
鎮痛剤・鎮静剤は使ったほうがいい?
大腸内視鏡検査では、鎮痛剤や鎮静剤を使用する場合があります。使用した場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
・不安感や恥ずかしさを緩和できる
肛門から内視鏡を挿入する検査なので、不安や恥ずかしさもあるのが当然です。それらを緩和するために、とても有効です。
・ウトウトしているうちに検査が終わる
ウトウトと眠った状態になる人が多いので、知らないうちに検査が終わってしまうことも。
・ゆっくり落ち着いて検査できるので細かな異変にも気付きやすい
使用中は時間の経過を感じにくくなるので、焦ることなくじっくりと大腸全体を観察することができます。その結果、細かな病変やポリープを見つけやすくなります。
デメリット
・検査終了後、1時間程度の休息が必要になる
検査が終わった後、鎮痛剤の効果がなくなるまで時間がかかるため、1時間程度ベッドやソファなどで安静にする必要があります。
・意識がなくなる(眠ってしまう)ことがある
ウトウトと半分眠った状態だけの人もいれば、完全に眠ってしまう人もいます。目が覚めていれば、医師と一緒にモニターを見ながら検査の経過を観察することができますが、できない場合もあります。
・帰りは車やバイクの運転ができない
検査後、1時間程度の休息を取れば鎮痛剤や鎮静剤の効果はほぼなくなると言われていますが、安全面を考慮して車やバイクk自転車などの運転は禁止している施設もあります。そのため、帰りのことを考えると、施設へ向かう段階から車やバイクは利用できず、公共交通機関を利用したり、場合によっては家族に迎えを頼んだりする手間がかかります。
鎮痛剤・鎮静剤を使用している施設2つ
不安や恥ずかしさをなくして快適な検査を受けるために、鎮痛剤や鎮静剤の使用がおすすめであることがわかりましたね。では、実際に鎮痛剤や鎮静剤を使用した大腸内視鏡検査を実施している施設を見ていきましょう。
①きつこう会ヘルスケアシステム
こちらは大阪市西部で、年間2500件を超える検査実績を持っている施設です。苦痛を伴うイメージの強い大腸内視鏡検査を科学的に検証することで、大腸内視鏡検査を楽に受けられるよう以下のように様々な工夫をしています。
・大腸に少量の水を注入して検査時の視野を確保する(浸水法)
・空気の代わりに二酸化炭素を注入して、検査中から検査後のお腹の張りを抑える
・鎮痛剤と鎮静剤の併用
・過去の手術で大腸に癒着がある人でも苦痛を感じにくくするため、柔らかい特殊な内視鏡を使用
通常は検査前に大量の服用が必要である下剤も、前日に大腸検査前の専用食を採っておくことで消化をよくし、必要以上に飲まなくて済むよう工夫されています。
②福岡天神内視鏡クリニック
「ガンで苦しむ人を1人でも多く減らしたい」というコンセプトを元に、「苦しくない無痛内視鏡検査」を実施しています。院長は大学病院や関連施設で多数の検査経験を積んでおり、日本有数の内視鏡検査数を持つクリニックで無痛内視鏡検査の技術を取得したスペシャリストでもあります。鎮静剤や鎮痛剤を使用するメリット・デメリットについても専用の解説ページがあり、わかりやすい画像付きで丁寧に説明されています。
最後に
大腸内視鏡検査を受けたいと思った場合、数ある施設の中からどうやって選べばいいのか、イメージできましたか?迷った時は今回紹介したチェック項目を元に、よりよい施設を探してくださいね。大腸ガンは早期発見でほぼ100%治せる病気です。大腸ガンの早期発見のためには、定期的な検査が必須です。
痛みや苦痛のある検査では、つい後回しになりがちなので、いかに苦痛なく快適に検査を受けられるかが、検査受診率に大きく繋がります。鎮痛剤や鎮静剤を利用すると「ふと気づいたら検査が終わっていて、びっくりしました!」という患者さんもいるようです。定期的な検査で大腸の病気をなくしていきましょう!