大腸内視鏡検査をするために必要な設備とは?

大腸内視鏡検査は、先端にカメラの付いた細長い管を肛門から入れ、大腸内の状態を観察する検査です。この検査によって、大腸内のポリープやがん、腫瘍や炎症などの異常を見つけることができ、病気の早期発見や治療に役立っています。しかし、大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を入れることへの抵抗感や、下剤などの処置に不安感がある方が少なくありません。

このような患者さんの気持ちに応え、様々な工夫がされている医院があります。大腸内視鏡検査を受けようと考えている方は、設備の確認もしておきましょう。それでは、安心して大腸内視鏡検査を受ける上で必要な設備をご紹介していきます。

リラックスして前処置を受けられる環境

大腸内視鏡検査を受ける上で必要な処置として、下剤や腸管洗浄液の服用があります。この処置を行うことで、大腸内に便などがない状態になり、大腸内の小さなポリープやがんなどを確実に見つけられるようになります。

下剤や腸管洗浄液を服用すると、しばらく経ってから便通があります。何度もトイレに通う必要があり、徐々に水様便になるため、この前処置が苦痛に感じる人も少なくありません。大腸内視鏡検査でのこのような苦痛を最小限に抑えるために、快適な環境で前処置を受けられる設備がある医院があります。

「便通があるたびにトイレに通わなければならないけれど、他の人が気になってしまう」「何度もトイレへ行ったり来たりするのが億劫」このような患者さんのために、前処置を個別で受けられる部屋が用意されている医院があります。また、医院によっては部屋にトイレも付いている場合があり、わざわざ何度もトイレに通う必要がなく、快適です。

また、大腸内視鏡検査を受けた後、お腹にガスが溜まっていたり、検査中に使用した薬によって本調子ではなかったりする場合があります。このような時に、検査後に休息できる設備のある医院は安心して身体を休めることができます。医院によっては、一人っきりででゆっくりと休息できるスペースが確保されている場合もあります。

このように大腸内視鏡検査の前後で、緊張を解くことのできるスペースが確保されている医院であれば、安心して検査を受け、十分に休息をとってから帰宅することができるでしょう。

大腸内ポリープに必要なNBI内視鏡

大腸内部の表面は粘膜でできており、この粘膜の一部が隆起したものが大腸ポリープです。大腸ポリープには、腫瘍性のものと非腫瘍性のものに分けられます。このうち、腫瘍性ポリープは大腸がんになる可能性があります。大腸がんは腫瘍性ポリープが悪性化してがんになる場合と、腫瘍性ポリープにならずに一気にがんになる場合があります。前者の場合、大腸内視鏡検査で早期発見し、切除することで大腸がんを予防することができます。

大腸ポリープは、大腸内視鏡検査で「粘膜下浸潤がん」「粘膜内がん」「過形成ポリープ」のどれかを判断する必要があります。「粘膜浸潤がん」であれば外科的手術が必要になります。「粘膜内がん」であれば内視鏡にて切除することができます。「過形成ポリープ」であれば経過観察が可能です。これらの診断をするためには、NBIを使った観察が必要になります。

NBIとは、Narrow Band Imagingの略称で「狭帯域光法」という意味です。NBIでは、血中のヘモグロビンに吸収されやすい青色の光と緑色の光を観察することができます。これによって大腸の粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様を強調して見ることができます。がんは自らを大きくするために血管を増やしているので、NBIを使用することで、がんの有無や種類の診断をすることができるのです。

このようにNBIが可能な大腸内視鏡の設備が整っている医院では、大腸内でポリープが発見された場合に、そのポリープが悪性なのかどうかを的確に診断することができます。また。今後の治療方針も決めることができ、病気の早期発見、予防に繋がる大切な設備と言えるでしょう。

大腸ポリープの外科的切除ができる機械

大腸ポリープは「大腸がんに関係ないもの」と「将来、大腸がんになる可能性のあるもの」「すでに大腸がんになっているもの」に分けられます。発見された大腸ポリープを診断するためには、ポリープを切除して病理診断を行う方法があります。この時の切除方法は3つあります。
一つ目は、ポリペクトミー(内視鏡的ポリープ切除術)です。内視鏡の先端から輪状のワイヤーを出し、ポリープにかけます。徐々にワイヤーを締め、ワイヤーに弱い電流を流すことによって、ポリープを切除します。電流を流して焼き切ることに抵抗感がある人もいますが、高周波電流なので人体に影響はないので安心して手術を受けることができます。
二つ目は、EMR(内視鏡的粘膜切除術)です。これは、大腸ポリープがワイヤーのかけにくいポリープである場合や、ポリープを全て取り切ろうとした時に大腸に穴を開けてしまう恐れがある場合に使う方法です。ポリペクトミーと同様にワイヤーを掛けるですが、EMRはワイヤーを掛ける前にポリープの根本に生理食塩水を入れます。こうすることで、ポリープが膨らんで持ち上がり、ワイヤーが掛けづらいポリープなども確実に切除することができます。
三つ目は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)です。この方法はポリープが大きい場合に使うことがあります。まずポリープの根本に生理食塩水を入れ、ポリープを膨らませて持ち上げます。そして、電気メスを使ってポリープを取り除きます。
大腸粘膜には知覚神経がないため、どの方法も切除する時には痛みを感じることはほとんどありません。このようなポリープを発見した際の処置が行える設備が大腸内視鏡検査には必要です。

鎮静薬が使用できる設備

医院によっては大腸内視鏡検査で鎮静薬を使用することができるところがあります。大腸内視鏡検査では、内視鏡を大腸に入れる時に大腸を伸ばしたり、観察する時に大腸の中を空気や炭酸ガスで広げたりします。そのため検査中に、痛みを感じたりお腹が張ったりすることがあります。

この時、鎮静薬などを注射することで意識を低下させ、緊張を和らげて、検査による苦痛を軽くすることもあります。多くの場合は呼びかけに反応する程度の鎮静薬を注射するため、検査中の医師からの質問に反応することができます。

鎮静薬を使用して大腸内視鏡検査をするメリットは、意識がぼんやりした状態で受けることで検査の不安やストレスを和らげることができる点です。また同時に検査による苦痛や不快感も抑えることができます。そして、大腸内視鏡検査を苦痛なしで受けられることによって、検査への抵抗感を減らし、繰り返し検査が受けやすくなります。

反対に、鎮静薬を使用して大腸内視鏡検査をするデメリットは、人によっては意識がなくなってしまったり、血圧が下がったり呼吸が弱くなったりなどの症状が出る場合があることです。このような症状がでてしまったことによって、大腸内視鏡検査が終わった後にしばらく安静にしていなければならなくなる場合があります。また、検査後に自動車やバイク、自転車の運転を控える必要があるので、検査当日にこれらの移動手段が使えないというデメリットもあります。

このような鎮静薬のメリット、デメリットを理解した上で、鎮静薬を使用できる設備がある医院を選ぶかどうかを考えましょう。

最後に

大腸内視鏡検査に必要な設備について紹介しました。大腸内視鏡検査は受けるまでに躊躇する人も多いですが、大腸がんの予防や大腸疾病の早期発見に役立つなど、今後の健康を守ってくれる重要な検査です。自分の将来に大きく関わってくることなので、大腸内視鏡検査を受ける時は、検査に必要になる設備が整っている医院をしっかりと見極めることが大切です。また、大腸内視鏡検査は不安や抵抗を感じることが多いため、事前に調べておくことで当日安心して検査を受けることができます。

今回紹介した設備を参考にして、安心して大腸内視鏡検査を受ける事ができる医院を選びましょう。