クリニックで大腸内視鏡検査を受ける!受ける際の注意点とは?

大腸内視鏡の検査を初めて行う方でも、お尻から内視鏡を入れて、大腸内を見ていくという検査内容であることはご存知の方がほとんどではないでしょうか。しかし、初めての検査をなると、さまざまな心構えが必要です。痛みはあるのか?前日や検査当日はどうすれば良いのか?時間はどれくらいかかるものなの?など、たくさんの心配や疑問もあることでしょう。

では、一体どんなことに注意すればいいのか。初めての方はもちろん、何度も行っている方も、注意点を知っておけばより安心して検査を受けられるはずです。この記事では、クリニックで大腸内視鏡検査を受ける際の注意点を説明していきます。

検査にあたって注意が必要な服用薬

持病によって薬を毎日服用している方もいるでしょう。中には服用したことで検査時に支障をきたしてしまう薬もあるので、十分に注意が必要になります。

まず注意したい薬は、血液をサラサラにする作用のある抗凝固薬です。血栓などを抑制するために服用されている薬で、代表的な薬名はパナルジン、バイアスピリン、ワーファリンなどが挙げられます。検査中に万が一にも傷ができてしまった場合には、血液が止まりにくくなる危険性があります。検査のおよそ1週間前から使用を中止して、検査後も3日程度は控える必要があります。

次に注意したいのは糖尿病で血糖値を下げるために服用している薬や、自身で行っているインスリン注射です。飲み薬を服用している方は検査当日の朝は、絶食をしなければいけないので低血糖の発作を起こしてしまう可能性があります。インスリン注射も同様で、いつもと同じ量を注射してしまうと発作の原因になりかねません。

上記で上げられる、血液をサラサラにしてくれる薬や血糖値下げる薬を服用されている方は、大腸内視鏡検査を受ける際には特に注意するようにしましょう。

薬や容態によって中止時期が異なり、また内服が必要になってくる方もいるので、検査を受けられるクリニックの医師に必ず相談してください。その他には、血圧を下げる薬や心臓の薬、精神安定薬などの常用薬は基本的に当日の朝まで服用が可能な物が多いですが、念のために検査を受ける前にクリニックにて医師に伝え、指示を仰ぎましょう。

検査前日までに注意が必要なこと

検査を行う約2日前から食事にも気を付けなければいけません。腸内の洗浄剤を利用して便を出してしまうからといって何でも食べて良いわけではないのです。

まず注意が必要な食べ物は、食物繊維が豊富なゴボウやキノコ類の野菜、皮のついたトマトなどの野菜や果物、種のあるキウイやイチゴ、スイカなどの果物、海藻類はできるだけ避けましょう。食物繊維は便通を促してくれて良いイメージがありますが、繊維が大腸内に残ってしまい検査の妨げの原因になってしまいます。さらに牛乳など乳製品や、脂肪分の多い食べ物は大腸の中が内視鏡で見た際に濁って見えにくくなり細部まで検査することが困難になってしまうので前日はもちろん、当日の朝も避けましょう。

では好ましい食事ですが、消化が良い食事を摂りましょう。ご飯ももちろん普通に食べて良いですが、おかゆにしてみたり、うどんや蕎麦も消化が良いので検査前は少し意識してみましょう。

また前日の夜21時頃に下剤の服用指示がある場合もありますので、早めに食事を終えて沢山の水分、約1500ミリリットル程度を目安に摂って早めの就寝を心がけましょう。夕飯を済ませた後の前夜から当日にかけては絶食ですが水分はむしろ積極的に摂って良いので、水やお茶を沢山飲んでおくと良いです。その際に粒入りのジュースや糖分の多い飲み物や、牛乳などは避けるように注意が必要です。

特に便秘症の自覚があるの方は、当日に洗浄剤を利用してもなかなか大腸内が空になりにくく、食物繊維や果物の種などが残りがちになるので気を付けましょう。食事内容に注意することで検査当日もスムーズに進みます。

検査当日に注意が必要なこと

当日の朝は絶食です。水やお茶などは大丈夫なので、たくさん水分を摂りましょう。

まずは自宅やクリニック内で腸管洗浄剤、下剤の液体なら約2リットル程度、錠剤の場合はクリニックにて処方された量をたくさんの水分で服用します。飲み方も異なりますが、一気に飲み干すのではなく1時間から2時間程度にかけてゆっくりと服用します。その後便を出しますが、水状の黄色みがかった色になれば腸管の洗浄は完了です。

服用中に気分が悪くなったり、飲みきれない、便がまだ茶色だということも考えられます。体調不良、飲みきれない場合はすぐに医師に報告しましょう。また、洗浄剤を飲み切ったにも関わらず便に色が残っているという方は、別の洗浄剤に切り替える場合もあります。便秘が酷い方や、クリニックまで公共の交通機関を使用するので自宅で洗浄剤服用が不安な方は、予め相談して院内で飲むこともできるので、心配な方は伝えると良いでしょう。

検査自体は約1時間程度で終了します。しかし、腸管内洗浄が完了する時間は個人差があります。朝からクリニックに行っても、午後からの検査になることが想定できます。更に、検査にあたって、クリニックによっては痛みを和らげるために鎮痛剤を使用したり、腸の動きを止める薬を使用して検査を行う場合もあります。鎮痛剤によってフラつきが生じることや判断力が鈍ることがあります。腸の動きを止めるお薬は視力調整機能も鈍くさせてしまうので目がチカチカする方もいます。なので、自動車や自転車の運転はできません。

また、稀ではあるものの出血してしまう可能性もあるので、検査当日は1日安静が必要です。身体の負担になるようなことは休みにして、検査に臨みましょう。

検査後に注意が必要なこと

検査が終わった後は普通に食事を摂って大丈夫です。医師からの指示がなければ基本的には何でも食べて良いです。ただ、ほぼ半日近く絶食して腸管内も空になっているので、味の濃い物や脂っこい物は刺激が強すぎて身体に負担がかかってしまいます。できるだけ消化が良く、薄味の物を食べるようにしましょう。アルコールやコーヒーも刺激が強いので、検査当日は避ける必要があります。また、検査後は体力を消耗しているのでゆっくりと安静にできるように時間を確保しておくと安心でしょう。

検査直後はお腹が張っている感覚が残ることがあります。これは個人差がありますが、オナラとして排出されますので安心してください。また、その後の便に稀に血液が混じる場合がありますが、少量の場合でしたら心配ありません。出血量が多いのではないかと心配がある方は、すぐに受診されたクリニックの医師に相談してください。

特に、精密検査のために腸内の組織を採取した方は、出血しやすい場合があります。稀なケースではありますが、出血する可能性があることを覚えておくと、いざという時に慌てなくても済むでしょう。

出血しないようにするためにも、約1週間程度はアルコールの過剰摂取や、激しいスポーツ、長時間お風呂に浸かるといったことは避けましょう。予め検査日が分かっているので検査後に出張や海外旅行、重要な仕事を入れないように注意してください。万が一出血した場合に、検査を行ったクリニックにすぐに行けるような態勢をとっておくことが必要です。

最後に

大腸内視鏡検査を受けるにあたって、事前準備や検査後の様子見期間など、何かと気を遣って過ごさなければなりませんが、内視鏡検査は腸炎や腫瘍など、外側からは見えない腸内の病気を見つけられる大事な検査です。

日本人は男女問わず大腸がんの罹患率が高く、大腸がんが原因で亡くなる方も多いことがわかっています。大腸がんは早期発見し適切な治療自体を受けることで、完治が見込める病気です。もちろん、治療を始めるタイミングが早いほど、治療費、自身の身体への負担も軽くて済むことが多いです。

大腸内視鏡検査での注意点を予め理解しておくことで、検査をスムーズに受けましょう。