【胃内視鏡検査】5分でマスター!検査方法はどうやって選べばいい?

定期健康診断やピロリ菌検査などで胃の検査をする際に用いられる内視鏡ですが、「経口」と「経鼻」から選べることをご存知ですか?
「経口」の場合は口から内視鏡を入れていき、「経鼻」の場合は鼻から入れていきます。それぞれ挿入する場所以外の違いやメリット・デメリットなどがあるため、自身の状態に応じて適切な方法をとることで、検査をより快適に受けることや病変の早期発見につなげることができます。
ここでは、胃の内視鏡検査を行う際の流れをはじめ、経口内視鏡・経鼻内視鏡について、特徴やおすすめの方法などを詳しく解説していきます。

一般的な内視鏡検査の手順

まずは、一般的な胃内視鏡検査の流れを見てみましょう。内視鏡検査を受けるには前日から準備が必要なため、医師の指示をしっかり聞き、正しい準備をして当日に臨みましょう。

事前検査(5日前程度)

全身の状態や持病の有無、持病がある方は服薬している薬の種類、採決、尿検査、心電図などの検査・問診を行います。脳梗塞・心疾患予防として服薬している薬がある場合、内視鏡検査の数日前から服薬を中断するよう指示がある場合もあります。

前処置(検査前日)

当日は胃を空っぽにしておく必要があるため、内視鏡検査の前日の夕食は大体午後9時までに軽くすませます(当日の検査時間により夕食の時間は異なります)。また、飲み物に関しても牛乳・お茶などは飲むことができないケースがあるため、を用意しておきましょう。

検査当日

内視鏡挿入の前処置として、消泡剤(胃をきれいにする白い液体)を飲み、経口ならばのどの麻酔、経鼻ならば鼻の通過を良くする薬で処置を行います。げっぷが出やすくなりますが、極力がまんしましょう。その後、内視鏡を挿入し、通常は5~10分程度で検査は終了します。

麻酔などを行っているため、検査終了後は車の運転を控えるようにしましょう。また、検査直後の食事や飲水は不可となっており、通常検査であれば終了から1時間後から、経鼻内視鏡であれば30分~1時間後から飲水・食事がとれるようになる場合が多いです。とはいえ、医療施設によって異なりますので、詳細は検査を受ける際、医師に確認しましょう。

「経口」と「経鼻」の違いとは?

経口内視鏡と経鼻内視鏡、その検査方法や、使用する器具はどのように違うのでしょうか?経口・経鼻に分けて解説します。

経口内視鏡

従来行われていたタイプの、口から飲む内視鏡です。サイズだけで見ると経鼻内視鏡より太めなため、飲み込む際は少し苦しく感じる方や、のどの痛みを感じる方もいるかもしれません。ただし、そうした方には内視鏡挿入前にのどの痛みを抑える麻酔薬や、胃の運動を抑える薬、緊張を和らげる鎮静剤などが使用されることもあるので、心配な方は医師に相談してみるとよいでしょう。
口から飲むタイプの内視鏡のため、スコープがのどを通るときに、反射的に吐くような感覚(嘔吐反射)が起こる場合があります。これは経口内視鏡の検査で一番つらい瞬間ですので、この感覚を避けて検査を行いたいという方は経鼻内視鏡を用いた検査がおすすめです。

経鼻内視鏡

近年普及し始めた、新しいタイプの内視鏡です。鼻から内視鏡を挿入するため、のどの痛みを感じづらく、加えて、内視鏡自体のサイズが経口内視鏡と比べて細めなので、比較的スムーズな挿入が可能です。経口内視鏡での検査で嘔吐反射がつらい方や、のどの痛みが強い方には経鼻内視鏡をおすすめします。とはいえ、すべてにおいて経鼻内視鏡が経口内視鏡に勝っているというわけではありません。経鼻内視鏡を使用できないケースがあり、鼻炎・副鼻腔炎といった鼻の病気を持っている方は、この器具を用いた検査は行えません。

経口内視鏡のメリット・デメリット

どちらの方法にもメリット・デメリットが存在するため、自分の健康状態や持病の有無、過去の経験などから、適切な方法を選択できるよう医師と話し合いましょう。
それでは、次に経口内視鏡のメリット・デメリットを紹介します。

経口内視鏡のメリット

  1. 大腸のすみずみまで詳細に確認でき、病変があった場合も鮮明に映し出せる
  2. 鎮静剤を使用しなければ、その日のうちに仕事などができる
  3. 鼻の病気を患っていても使用できる

経口内視鏡はカメラの管が太く、ライトも明るいものがとりつけられているため、詳しく確認でき、鮮明な画像を映し出すことができます。また、ピロリ菌の発症率が高い40代以降ならば、鮮明な画像を映す経口内視鏡の方がおすすめです。
鼻の病気は、例を挙げると鼻炎や副鼻腔炎といったものです。この場合経鼻内視鏡は使用できないため、鼻の病気を持っている方は、経口内視鏡を使用した検査しか行えません。

経口内視鏡のデメリット

  1. のどの麻酔薬がとても苦い
  2. のどの麻酔薬には副作用がある
  3. 嘔吐反射が起こる場合がある

まず、のどの麻酔薬がとても苦いです。そうした薬を飲みたくない方は事前処置から苦しい思いをします。また、のどの麻酔薬には副作用があるため、人によっては気分が悪くなります。そして先ほども特徴で述べたように、口から内視鏡を挿入する際、のどの奥(咽頭部)を刺激するため反射的に強い嘔吐感に襲われる場合や、検査中は息苦しさを感じることもあります。

こうしたデメリットを軽減するため、施設によっては鎮静剤を使用して、眠っている間に経口内視鏡を用いた検査が行われるという選択もできます。眠っている間に検査が終わるため、苦しいこともなく、快適に検査を終えられます。ただし、鎮静剤を使用した場合は検査前から点滴を行うほか、当日は車の運転・仕事などができません。
経口内視鏡検査を受ける場合は、自分の体やスケジュールとよく相談して、鎮静剤の使用を検討しましょう。鎮静剤を使用するならば、検査当日は予定のない日を選択することも重要です。

経鼻内視鏡のメリット・デメリット

経鼻内視鏡のメリット

  1. 挿入がスムーズで、息苦しさが軽減される
  2. 嘔吐反射が起きない
  3. のどの麻酔薬を飲む必要がない
  4. 鎮静剤を使用しないため、検査後仕事などに戻れる
  5. 検査中に会話ができる

経鼻内視鏡はサイズが細めのため挿入がスムーズで、息苦しさも経口内視鏡よりかなり軽減されます。嘔吐反射の原因となるのどの奥(咽頭部)を刺激しないため、吐き気も起きません。また、のどの麻酔を行わなくても検査ができるため、苦い薬が苦手な方は快適に検査へ望めます。そして、使用する麻酔薬は少量であるため、体への負担は少なく済みます。また鎮静剤を使用しないので、検査後に仕事や用事に戻ることができます。さらに口がふさがっていないため、検査中に会話ができます。検査中に不安な点や気になる点があった場合など、その場で医師に確認することができます。

経鼻内視鏡のデメリット

  1. 挿入時、粘膜を傷つけて出血する恐れがある
  2. 鮮明な映像が撮りづらく、観察が非常に困難になる場合もある
  3. 鼻腔が狭い場合は使用できない
  4. 麻酔後のインターバルがある

経鼻内視鏡は、内視鏡を鼻から挿入する際に粘膜を傷つけてしまう可能性があります。そして内視鏡のサイズが細めなため、逆に鮮明な映像が撮りづらく、胃に食物が残っている場合などには観察が非常に困難になります。また、鼻腔が狭い場合は内視鏡を挿入できないこともあります。その際施設によっては、経口内視鏡に検査方法が切り替わります。また、鼻の麻酔に5分程度の時間がかかるため、麻酔後のインターバルがあります。

経口内視鏡よりも格段に挿入が楽であり、嘔吐感やのどの痛みも感じずに済むため、できれば経鼻内視鏡が良いという方も多いでしょう。しかし、こちらはまだ発展途上といえる器具で、サイズが細めであるために経口内視鏡よりもカメラや照明が小さく、映像の鮮明さは経口内視鏡に劣っています。そのため、ピロリ菌などの発症リスクがある40代以降は経口内視鏡、40代より若く、胃の状態に不安はないという方ならば経鼻内視鏡を選択するとよいでしょう。

 

今回の記事では、内視鏡検査の流れや、経口内視鏡・経鼻内視鏡の特徴、それぞれのメリット・デメリットを紹介しました。挿入が大変で苦しい点もありますが、鮮明な画像が映るため小さな病気も見逃さない「経口内視鏡」、画像自体は改良の余地があるものの、挿入や事前準備などが楽なため、身体的・精神的な負担の少ない「経鼻内視鏡」、どちらの内視鏡も優れた器具であることは間違いありません。
自身の体調や既往歴、持病などを含めて正確な情報を医師と共有し、適切な方法を選択し、健康な毎日を送れるよう検査を有効活用しましょう。