大腸の内視鏡検査をする場合、申し込みから検査を受けるまでの流れや、当日の所要時間など気になる点は多々あるでしょう。その中でも特に気になる点の一つが「検査にかかる料金」ではないでしょうか。
なんとなく気になる症状があったり、健康診断の時に検査を勧められて受診を考える方が多いのが大腸の内視鏡検査です。しかし、検査費用が高額になるのではと不安で受診に踏み切れない方も少なくないようです。
ここでは、検査を受けるにあたり実際にかかる料金の目安を、医療費3割負担の方のケースでご案内します。受診する医療機関により料金も若干異なりますが、ぜひ参考にしてください。
目次
内視鏡検査にかかる最低限の費用
いざ大腸の内視鏡検査を受けるにあたり、最低限必要になるのは「初診料」と「内視鏡検査費用」です。
「初診料」は、検査を申し込む際の診察にかかる費用です。最近では、内視鏡検査の予約を電話やインターネットから申し込みができる医療機関も増えています。しかし、その場合も内視鏡検査の実施1週間ほど前に便潜血などの症状の確認や血液検査、下剤などの薬剤を処方するために受診が必要となります。費用の目安としては、2,500円から4,000円程度。使用する薬剤や、実施する血液検査の内容により金額は前後します。また、医師の判断によっては、追加で通院が必要となる場合もあり、その際は診察料等が別途必要になります。
「内視鏡検査費用」は、検査当日に必要になる金額です。大腸に問題がある可能性を疑って検査をしたものの、特に問題が見つからずに検査が終了した場合は、最低限の「内視鏡検査を実施した費用」とその日の診察料などを支払って帰ることとなります。その金額は、内視鏡検査費用約5,000円と、診察料、検査中に使用した薬剤費用で、合計6,000円から7,000円程度となります。
初診は、「なぜ大腸の内視鏡検査が必要なのか」といった症状の確認や、血液検査、検査前日の食事制限、検査前日から当日にかけての下剤の服用方法など細かく指導してくれる貴重な時間です。ここできちんと説明を受けておかないと、検査当日にスムーズに内視鏡検査を受けられず、追加で投薬が必要になったり、最悪の場合は検査をやり直す必要が出て費用がかさんでしまう原因になります。
こんな場合は要注意!保険の適用について
大腸の内視鏡検査を受けるにあたって発生する費用の中で、該当する方が特に多いのがこちらの項目になります。
それは「組織検査費用」です。医療機関によっては「病理組織検査」「生体検査費用」「生検費用」などと呼ぶ場合もありますが、いずれも同じ意味合いで、検査により見つかった病変などの疑わしい組織を採取して顕微鏡検査に出す費用のことです。
この費用は、大腸内の炎症など病変を疑われる場所や、検査にまわす細胞の数により変動していきます。大腸の内視鏡検査の場合は、大体10,000円から20,000円程度かかることが多いようです。そこに診察料や、必要に応じて薬剤の費用が加算されますので、組織検査を要する大腸の内視鏡検査であれば、検査当日の支払いは25,000円程度を準備しておくと良いでしょう。
ですので、このケースの場合、初診から検査当日までの費用は合計30,000円程度と考えておくと安心です。
しかし、細胞を検査に出していますので、後日その検査結果を聞きに行く費用や、必要に応じて薬剤費用、追加検査費用なども必要となります。大腸の内視鏡検査を受けた際に、医師から「病変部位の細胞を検査に出しますね。」という趣旨のことを言われた場合は、検査結果が出た後の流れについても質問してみると良いでしょう。その時点でのわかる範囲で、どういった病気の可能性があるのか、もし病気だった場合には治療期間や費用がどれくらいかかるのかなど回答してくれることでしょう。
大腸ポリープを切除した場合
内視鏡検査当日にもっとも費用が高額になるケースです。
便潜血などを理由に大腸の内視鏡検査を受診する人の30%以上に、大腸ポリープが認められるという調査結果があります。大腸ポリープが発見された場合、ポリープが大きく、内視鏡で切除すると腸壁に穴が開いたり出血が止まりにくいなどの危険がある場合を除き、患者の同意があればその場でポリープを切除します。
費用はポリープの切除個数にもよりますが、20,000円から30,000円程。この費用の中には、切除したポリープの組織検査費用が含まれていることが大半ですが医療機関により異なります。また、診察料や薬剤費用は別途必要となりますので注意しましょう。
ポリープの切除は手術行為にあたるので、検査前の診察でポリープ発見時の切除の希望の有無を問われます。金銭面での不安がある場合など、ポリープの切除に同意したくないという人もいるかもしれませんが、一部の大腸ポリープは成長すると大腸がんに変化するとされていますので、よく考えた上で決断された方が良いでしょう。
もし個人で任意の医療保険に加入している場合は、契約内容により、ポリープの切除をすると「手術見舞金」等の名目で保険金が支払われる場合があります。医療保険に加入している人は、一度、加入している保険会社に問い合わせてみると安心です。
また、国民健康保険などの健康保険には、医療機関窓口での支払い額を一定までで定める制度もあります。所得に応じて支払い上限額は変わってくるので、医療費が高額になる恐れがある場合は健康保険の加入先に問い合わせてみると自己負担額を減らせるかもしれません。
検査以外にかかる費用
見出しを見て、病院代以外にも必要なものがあるのかと驚かれた人もいるのではないでしょうか。大腸の内視鏡検査において、メインで必要になるのは診察料、薬剤費、検査費用などですが、医療機関や人によっては他に必要になるものがありますので参考にされてください。
「食費」とは、内視鏡検査を受ける病院から「大腸検査食」と呼ばれる消化しやすい食品をもらう、または購入する場合に発生する料金です。その場合、検査食代が病院側からの請求額に含まれるのが一般的です。医療機関によっては、検査食は用いず、検査前日の食生活を指導する用紙等を渡されるだけの場合もあります。その場合は、消化しやすい食材などを自身で準備、調理する必要があるため、その費用と時間がかかります。
「託児所等の費用」は、小さい子どもがいて、親族などに預けることができない場合に発生します。内視鏡検査は、子どもを連れて臨むことはできません。前日の夜から、もしくは朝からの下剤の服用はもちろん、検査にも時間はかかりますし、検査後のリカバリーの時間も必要になります。そのため検査当日は子どもを預ける必要があり、その費用がかかります。
「交通費」は、病院が徒歩圏内である場合や、家族・友人が自動車で送り迎えをしてくれる場合などには不要です。しかし、自転車や自動車を自身で運転して通院する必要がある人は、公共交通機関やタクシーなどを利用しなければなりません。検査当日は鎮静剤などを使用する可能性があり、安全に運転ができなくなるためです。
最後に
大腸の内視鏡検査というと、その言葉だけで敬遠してしまう方も少なくないでしょう。検査が苦しそう、料金が高そうなどネガティブな連想をしてしまいがちですが、初診から検査当日までの費用は、ポリープの切除がいくつか必要だった場合で40,000円程度です。この金額は前述もした通り医療費3割負担の場合の金額となり、医療費2割負担や1割負担の人の場合もう少し安くなります。
また、受診する医療機関によっても変わってきますから、費用面で悩んだ場合には、一度受診する候補になる医療機関に電話などで問い合わせてみると良いでしょう。金額だけでなく、その時の対応、混雑具合なども医療機関選びのポイントになるかもしれません。