大腸内視鏡検査を受けなさいと言われた方へ。
内視鏡検査ということで、不安もある方も多いと思います。
医学が発達した現在でもがんはまだまだ怖い存在ですが、日本人のがん死亡数の中でも大腸がんは肺がんに続いて2位となっています。男女別に見れば女性では大腸がんがトップです。
ですから、大腸がん検診を受けて早期発見に努めることがいかに大事か分かると思います。大腸内視鏡検査というと受けるのを恥ずかしがる女性も多いようですが、実際にやってみれば痛みもほとんどなく、あっという間に終わってしまうものです。
ここでは大腸がん検診や大腸内視鏡検査を受けるにはどのくらいの費用がかかるのかを具体的に見ていきましょう。
目次
大腸内視鏡検査には保険が適用される
なぜ大腸がんは死亡数が上位なのか?
大腸がんは死亡数でトップクラスに位置しています。しかし、そのわりには大腸がんの検査をまめにやっていない人が多いのが現在の日本の実態です。日本人の食生活は30年ぐらい前からかなりの変化をとげ、それに対応して大腸がんも急激に増えました。
がんは生活習慣病のひとつですが、日本古来の食事は大腸がんなりにくい素材を使ったものが多かった特色があります。例えば日本人が毎日のように献立で食べているお味噌汁や豆腐、納豆、しょう油などの大豆製品には、がんを予防する効果があることが分かっています。これは大豆に含まれるイソフラボンのおかげなのですが、このイソフラボンの中でも特に「ダイゼイン」や「ゲニステイン」と呼ばれる成分は体内に取り込まれると内分泌環境を整えてがんの発生を防いでくれるのです。
ところが食生活が西欧化して肉食に偏ってしまい、大豆の摂取量が減ってしまったことで大腸がんや乳がんなどが増えてきました。
大腸内視鏡検査に保険は適用される?
がんはなんといっても早期発見が重要なポイントです。早い時期に発見して治療をすればかなりの確率で治癒しますので、がん検診は欠かさず受けることをおすすめします。
がん検診というと高いというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、大腸内視鏡検査をはじめとした検査は、医師により検査が必要であると判断された場合にはもちろん保険が適用されます。
クリニックや病院の胃腸科で大腸内視鏡検査を受ける際の費用を以下にまとめてみましたので参考にしてください。
大腸内視鏡検査にかかる費用
大腸内視鏡検査を受けるためにはまず診察を受けることが必要になります。その際、自分の病状を説明し、血液検査などを受けてから、医師が判断し実際に大腸内視鏡検査ということになります。「病状」というと大げさに聞こえますが、下痢を何度も繰り返して困っている、1年ほど前から便秘に悩んでいる、原因不明の腹痛がここのところ続いていて不安だといったようなことも立派な病状あるいは症状です。
また、「便潜血検査」で陽性(要精検)が出た方もこれに当てはまります。
大腸内視鏡検査の相場
大腸内視鏡検査を受ける際、かかる費用はこれらに対してになります。
・採血代
・薬代(鎮痛剤・鎮静剤など)
・検査費用
・大腸ポリープがあった場合、切除代
・大腸ポリープがあった場合、病理検査代
・入院する場合、入院費
まず、初診料と採血にかかる費用は2,500~4,000円程度が相場です。
そして大腸内視鏡検査自体は5,000円程度で済みます。
大腸ポリープが見つかった場合などは大腸ポリープ切除術が20,000~30,000円、切り取ったポリープの病理細胞検査に5,000~25,000円ほどがかかります。
しかし、病院によってはポリープの大きさによって(2cm未満、2cm以上など)料金を設定しているところもあります。ポリープ切除は検査中に行いますので、基本的には日帰り手術となります。
入院が必要な際にはさらに入院費が必要となります。入院して検査を受けた場合の大腸内視鏡検査費は20,000円からとなっています。
以上は自己負担3割の場合ですから、1割負担の人ならこの3分の1の費用で済むわけです。
ここに挙げたのはだいたいの目安で、病院によっても金額は多少異なってきますが、使用する鎮痛剤や鎮痙剤の種類によっても金額は上下します。切除するポリープの数が増えればそれだけ費用も高くなりますから、検査を受けるまでは正確にいくらかかるかを算出することは不可能です。
各市町村の定期検診を活用する
上に挙げた金額は自発的に病院に行って検査を受けた場合の金額ですが、各市町村では大腸がんの定期検診を無料で行っていますので、こちらも上手に活用して病気知らずの人生を楽しみたいものです。
大腸疾患の検査法には大腸内視鏡検査の他に便潜血検査というものがあります。これは便を採取して病院に持っていくと、分析して血便があるかどうかを調べてくれるというものです。
この検査自体はクリニックでやってもらっても1,000~2,000円とそれほど高いものではありませんが、各市町村ではこの検査を無料で受けることのできるクーポン券を発行していることもあり、あるいは数百円で受けられるような便宜をはかっていますので、ぜひ活用してこまめに体調チェックを行いましょう。
便潜血検査を受けることによって血便が出ているかどうかを確認することができます。血便が出ている場合には、大腸内視鏡検査でその原因を突き止める必要が出てきます。
血便があるから即大腸がんというわけではありませんが、少なくとも胃腸に潰瘍かポリープがある可能性は高くなるわけですから、大腸内視鏡検査を受けようかどうしようか迷っている人にはこの便潜血検査が目安になるはずです。
大腸がん検診(便潜血検査)の対象となるのは40歳以上の男女で、最寄りの市役所で配布している申請書または各市町村のホームページから申し込みをすることができます。
たとえ大腸がんにかかっていなくても、他の大腸の病気を見つけるにはいい機会ですから毎年検診を受ける習慣をつけたいものです。
自費の大腸内視鏡検査もある
大腸内視鏡検査は下痢や腹痛、便秘、血便などの症状があって医師が内視鏡検査が必要であると判断した場合には保険が適応されますが、それほどの症状は認められず、検診目的ということになれば保険は効かないため自費検診になります。
保険が適用されるかされないかの重要な判断材料となるのは便潜血検査です。ここで血便が確認された場合には保険が適用されます。
「血便もないし下痢がそれほどひどいわけではないけれど、一応検査をしておきたい」という場合の大腸内視鏡検査は自費で約18,000円かかります。
とはいえ、検査の途中でポリープが見つかり、切除しなければならなくなったような場合には保険診療となります。
便潜血検査というのは便に血液が混じっていないかどうかを見る検査ですが、この検査で陰性になったとしても実際には大腸内にポリープができていた、あるいはがんが見つかったというケースも稀ではないのです。
自己負担で大腸内視鏡検査を始めたけれどポリープが見つかったような場合には、大腸内視鏡検査の費用は自費のままで病理検査に関しては保険診療として請求が行われます。
つまり、病変があると判断される場合の検査費は保険が効き、単なる健康診断とみなされる場合には自己負担になるということです。人間ドックでも大腸がんの増加に伴って大腸内視鏡検査を行うところが増えていますが、こちらも健康診断の一種ですので基本的には自己負担となります。検査中に病変が発見された場合には保険診療に切り替わります。
最後に
医師というのはプロトコルに沿って仕事をしているわけですから、症状問診、触診などからして大腸内視鏡検査が必要ないと判断された場合には自費で検査を受けなければなりません。この検査は身体にある程度の負担がかかるものですから、自覚症状も血便も何もないのに無闇に何回も受けるのも考えものです。
まずは便潜血検査(大腸がん検診)を毎年きちんと受けることにして体調管理を行い、必要が生じた時点で大腸内視鏡検査を受けるようにしたいものです。
大腸内視鏡検査を受ける頻度は5~10年に一度が目安だと思えばいいでしょう。ただし、家族に大腸がんの人がいるような場合は大腸バリウム検査なども組み合わせてきめの細かいチェックを怠らないことが大切です。