多くの人から大腸の内視鏡検査が痛かったという話をよく聞きます。とても痛くて苦しく、女性の中には、お産と同じかそれ以上の痛みを経験したという方もいるほどです。お産の痛みは男性には理解し難いものでしょうが、もう二度と受けたくないという人がいることも事実です。
ただ、曲がり角で少し痛みを感じたものの、一瞬ガマンすればそれほどのことではなく、モニターを一緒に見て、医師と会話しながら検査を受けたという人もいます。
これは個人差なのでしょうか、それとも医師の腕前の違いなのでしょうか。はたまた、検査の方法によるものなのでしょうか。では、その原因を探っていきましょう。
目次
大腸内視鏡検査の痛みの原因は?
大腸内視鏡検査での痛みの原因とは一体何なのでしょうか。
大腸が伸びたり膨らんだりする時に痛い!
大腸内視鏡の痛みは、腸が伸びすぎたり膨らみすぎたりした時に「張り裂けそう」とか「ちぎれそう」と感じることで起こります。
痛みの原因は大腸の構造にもある
右下腹に小腸から大腸につながる部分があり、そこからは「上行結腸」と言われて上に向かっています。その後約90度左に折れ曲り「横行結腸」と呼ばれる部分があり、それがお腹の左側に届くと、そこからは下に向かう「下向結腸」へと続きます。そして直腸を経て肛門に至るのですが、直腸の入り口に「S状結腸」という部分があります。これらの部分の中で「上行結腸」と「下向結腸」は「後腹膜」というもので固定されていますが、「S状結腸」と「横行結腸」は「腸間膜」というものでぶら下がっているだけで固定されてはいません。
「S状結腸」は内視鏡が挿入されて割と直ぐに到達する部分で、文字通り「S」のような形状をしています。内視鏡を「下向結腸」に向かって進めようとすると、固定されていない「S状結腸」の部分で内視鏡がループ状となり、さらに押して行くとそのループが大きくなるだけで「S状結腸」をどんどん伸ばしてしまうことになり、かなり強い痛みを感じることになります。
大腸には感覚はない?!
そもそも大腸の粘膜には痛覚がありません。ですから大腸カメラが入るだけでは痛みを感じないのです。だた、内視鏡を挿入する際に無理に押したりすると、腸管が引っぱられることで腸を支える周辺の筋肉などの神経が刺激され、痛みを感じます。これが多くの人が大腸内視鏡検査を躊躇する痛みの原因なのです。
大腸内視鏡検査での痛みを和らげる方法
さて、あまりの痛さのため、多くの人が敬遠しがちな大腸内視鏡検査で、痛みを和らげる方法を検証していきましょう。
麻酔や鎮静剤を使用する
まず内視鏡を挿入する部位に局所麻酔を行います。そして鎮痙剤を使って胃腸の動きを止め、緊張を取るための鎮静剤を注射してウトウトと眠い状態にさせると、リラックスした状態で検査が受けられます。ただし、麻酔にはデメリットもあります。麻酔自体にも呼吸抑制や血圧低下、麻酔から覚醒した後の転倒などにも注意が必要です。
検査中に医師との会話ができないのも大きなデメリットでしょう。また、妊娠中や授乳中の女性には使えませんし、検査後すぐには車の運転ができません。そのため、現在では痛みを麻酔で消すのではなく、痛みを起こさない方法が好ましいとされています。
腸を短く折りたたむ方法
痛くない大腸内視鏡検査を行うためには、大腸をアコーディオンのように折りたたみながら内視鏡を入れていくことになります。内視鏡を進めては大腸を短く折りたたむわけですが、内視鏡を進める際には少し痛みを感じることがあります。
「オスピタン」の使用
上記の方法で痛みが出る場合は「オピスタン」という注射薬を使用することになります。この薬は、腸の蠕動を弱めると同時に痛みを軽くする作用もあります。そして、通常はこのオピスタンと眠り薬を注射して行います。患者と会話はできるのですが、半分寝ている状態で検査を行うことになり、患者も検査医もストレスなく検査できるというわけです。
大腸内視鏡検査は、前処理も検査後も辛い!
前処理とは、腸の中を空にするための下剤を飲むことが主です。朝食を抜くだけで良い胃カメラとは違い、真っ暗な腸の中でライト付きの内視鏡を進めていくため、便などがカメラの先端に付着してしまうと検査不能になってしまうので、この前処理がとても重要なのです。
まず前日の夕食後に半分飲み、検査当日の朝に残り半分を服用し、4〜5時間後に宿便が除去されてから病院に行くということになります。前日の下剤の影響で、夜中に何度もトイレに行くはめになったり、明け方に腹痛が起こって目が覚めてしまったりする方もいます。
そのため、病院によっては前日夜の下剤が不要だったり、従来は2Lもの前処理溶液を飲んでいたものを、半分近くまで減らせる新しい前処理薬を処方してもらえたり、液体ではなく錠剤も用意している病院もあります。
初めて検査を受ける方から「大腸カメラは検査後もつらい」という話もよく聞きます。前処置を乗り越え、検査も頑張り、ようやく終わったあとも、実は大腸カメラはまだ辛くなる要因が残っているのです。それが、「空気によるお腹の張り」です。 大腸の中は普段はペタンとした状態ですが、検査中は空気を送って膨らませた状態で隅々まで観察することになるため、どうしても空気によるお腹の張りを感じ、場合によっては吐き気が起こってしまうこともあります。
このような検査後の苦痛を減らすため、空気の100倍吸収が早い「炭酸ガス」を使用して検査を行う病院があります。これによって検査後のお腹の張りが劇的に少なくなり、検査後もスムーズに帰宅することができるというわけです。
痛みが少なく評価が高い病院2つ
大腸内視鏡検査ではやはり痛みがあることが検査を受けにくくなる原因であることがわかりましたね。では実際に痛みが少ない検査を実施しており、高い評価を得ている病院を2箇所挙げてみましょう。
新宿内視鏡クリニック
「99%痛くない大腸内視鏡検査」というコンセプトで、無痛率は驚異の99.4%を誇っている、内視鏡の専門病院です。空気を入れずに水を注入しながら行う水浸法を導入しており、患者の苦痛の軽減に努めています。水浸法のメリットは下記の通り。
・誰でも痛みなく受けられる
・腸に穴が開くなどの事故はゼロ
・「腸が癒着している」など、難しい症例の人ほどメリットが高い
・空気を入れないからお腹の張りや痛みがない
水浸法を導入している代表的な病院として、テレビや雑誌、新聞などにも多数取り上げられており、信頼度の高さが伺えます。
神宮の杜クリニック
国立がんセンターや大学病院で経験を積んだ医師が院長を務める病院です。高度なスキルと最新の設備が整った設備であり、患者からも高い評価を得ています。がんセンターや大学病院でも使われている、最新のオリンパス内視鏡を導入しています。この機械には「NBIシステム」がついており、通常では見ることのできない細かい粘膜の血管を、特殊な光を当てることでクリアに観察することができます。
また、ハイビジョンを大幅に上回る高精細な画像を実現できるカメラで病変のある箇所を100倍に拡大することができるため、より小さな異常でも早期発見ができるのです。
今回検証したように、大腸内視鏡検査は痛みを感じることが多い検査であり、これまでに検査を受けたことがある人で「二度と受けたくない!」と思うような辛い経験をした人もいることは事実です。でも、痛みの原因を把握できれば、それを避ける対策をとることもできます。
大腸ガンの早期発見のためには、定期的な大腸内視鏡検査が大切になってくるので、痛みなく快適に検査を受けられる病院の存在は必須と言えるでしょう。痛みのない検査を受けたいと思ったら、この記事を参考に口コミやアンケートの評価の高い病院を探してみてくださいね。