大腸内視鏡検査は15分!でも前処置は4時間かかるってホント?

大腸内視鏡検査を受けようとしたときに、予定を立てるために気になることの1つが、検査にどの程度の時間がかかるのかということではないでしょうか。

特に一年中仕事が忙しくなかなか平日の休みが取れない方や、仕事の合間に検査を受けたいという方には、検査のための所要時間は大きな問題になります。

とはいえ、他の検査よりも事前の準備にかなりの時間がかかる検査ですから、余裕を持ってスケジュールを組む必要があります。

そこでこの記事では、大腸内視鏡検査にかかる時間について解説していきます!

検査よりも時間がかかる前処置

大腸の内視鏡検査は検査よりも下剤を飲むのが大変、という話を聞いたことはありますか?

例えば胃カメラであれば、前日の夜から絶食しておけばそれだけで検査ができます。当日検査機関や病院に出向き、胃の中の泡消しを飲むほか、のどに麻酔のスプレーをする程度で、すぐに検査に移ることができます。
検査自体も5分から10分程度で終了し、鎮静剤を使ったとしても1時間程度休むだけで、あとは意識がはっきりしたら医師の説明を聞いて終了となります。

ところが大腸の場合はそうは行きません。大腸内視鏡検査は他の検査のように、検査の時間になったら病院に行って、簡単な準備のあとにすぐに受けられるものではないのです。

もし大腸内部に便などの排泄物があると、小さなCCDカメラを先端につけたファイバーでは肝心の腸壁が便に邪魔されて見ることができませんし、長い大腸の奥までカメラを入れるのは無理でしょう。そこで前処置と呼ばれるものを行って、腸の中を空っぽにしておく必要があるのです。

大腸の中にカメラを入れて腸壁の様子などを観察する検査なので、邪魔なものがあっては正確な診断ができませんし、それだけ時間もかかってしまうので、それを防ぐために必ず前処置を行わなければなりません。
前処置は自宅でできる場合もありますが、病院で行わなければならない場合もあります。
自宅から病院までの距離があり、移動が大変な方や、体調の急変が起きる心配がある方、自宅で前処置をするのが不安な初めての方など、病院に行ってから腸管洗浄液を飲む人は、その間は病院から出ることができませんので、かなりの時間を病院内で過ごすことになります。

午前は前処置だけで終わることも

大腸内視鏡検査の前処置の具体的な方法としては、下剤となる腸管洗浄液を飲んで、便の色が透明に近くなるまで排便を繰り返します。
洗浄液で腸壁をきれいに洗い流すイメージです。
使用する洗浄液の種類にもよりますが、この処置だけで2~4時間はかかります。
またどうしても大量の洗浄液が飲めない方には、錠剤のビジクリアが使用されることもありますが、この薬の場合は検査の4~5時間前から飲み始める必要があります。
もし病気などの影響で腸の運動が弱っている場合や、便秘症の方の場合、それ以上の時間がかかることもあります。

これだけで人によっては半日が潰れてしまう可能性もあります。
よほどスムーズに運ばない限り、半日で検査を終えて帰ることは難しいと思っておいた方が良いでしょう。
検査前日は病院で推奨される検査食か、それに準ずる内容の食事にする必要がありますので、外食やお酒の予定も入れられません。
当日の前処置にかかる時間を少しでも短縮するために、検査の数日前から食事の内容を変えるという方もいます。
日頃便秘をしやすい方は、少しでも排便がスムーズに進むように、腸の環境を整える食事に切り替えておくのも有効かもしれません。

病院で前処置を行う場合、経過を看護師さんがチェックしてくれるので、スムーズに進めば洗浄液を飲む量が少なくてすみ、検査に移れる時間が早くなることもあります。
自宅で行うときは、電話で状況を病院に伝えながらの判断になるので、それよりは時間が長めになることが多いようです。

人によって検査時間は大きく違う

前処置が完了して腸管の洗浄ができたら、次はロッカーなどに移動して着替えをすませ、検査をする準備をします。

用意された検査服と紙パンツに着替え、時計やアクセサリーなどは全て外しておきます。
またネイルやマニュキアをしている人は、きれいに取るように言われることもあります。
爪に脈拍などを管理する機器をつけることがあるためです。

準備ができたら検査室に入り、点滴や大腸の動きを抑える薬、鎮痛剤や必要な場合は鎮静剤の注射などを行い、薬が効いてきたら、内視鏡の挿入を始めます。
肛門から大腸の奥の盲腸まで内視鏡を挿入するのに2分から5分程度、その後検査に15分程度かかります。
30分前後で終了となりますが、ポリープが見つかって切除をする場合は、さらに時間がかかります。

ポリープができている部位や大きさ、数によって違いますが、だいたい1時間程度はかかると思っていいでしょう。
前処置完了から検査室を出るまでに、トータル60分から90分ほどとなります。

また検査にかかる時間は、検査を受ける方の年齢や腸の状態などによって大きく変わります。
あくまでも目安時間でしかありませんので、時間の計算は難しいところです。

まったく鎮静剤である麻酔を使用しないまま検査が終われば、検査後に医師の説明を聞いて終了となります。
麻酔を使用した場合は、検査終了後に1時間程度の休憩が必要になります。その後完全に麻酔が切れたら、医師の検査結果や説明を聞き、帰宅できます。生検のためにポリープを切除した場合は、結果がでるまでに2週間ほどかかります。
麻酔をつかった場合はその日の運転は禁止ですので、電車等の公共交通機関を利用するか、家族などに迎えにきてもらう必要があります。
そのまま仕事に戻るのは難しいでしょうし、自宅に戻って安静にしているというのが望ましいでしょう。

検査時間には余裕を見て

ここまでに挙げてきたように、大腸内視鏡検査は場合によっては一日がかりになることもある、時間がかかる検査です。

しかし検査の性質上、これはある程度仕方のないことです。とくに初めて検査を受ける方や、少し緊張感や不安感の強い方では、検査が始まってからもなかなかリラックスすることは難しいでしょう。

そうした場合には鎮静剤が使われることも多く、検査が終わってからもその影響が残る場合があります。一日がかりの検査になりますので、疲れもあるでしょうし、特に鎮静剤を投与した方はその影響で身体のだるさや頭痛、視覚症状などが完全に回復するまでには少し時間がかかります。検査のあとに予定を入れるような無理は避けて、当日はできるだけ自宅で安静に過ごすことがのぞましいのではないでしょうか。

ポリープの切除や生検を行った方は別として、検査当日から、飲食物に関しての制限はありません。ただし大腸をいたわるためにも、いきなり刺激の強いものやアルコール、タバコなどは謹んだ方がいいでしょう。ポリープの切除を行った場合は、刺激物、アルコール、タバコ、コーヒーなどは、1週間は避けるようにしてください。大腸の内視鏡を挿入しての検査は、身体にも負担がありますので、全体を通して時間は多めに余裕を持って見積もるほうがいいでしょう。

最後に

他の病気の検査と比較して、その内容もかかる時間も負担の大きな大腸内視鏡検査。できることなら受けないですむに越したことはありませんが、健康を守るためにはある程度の年齢になったら必要な検査になります。

2年に一度は定期的に受けることが推奨されています。腸になんらかの不調や病気の兆候があらわれたときはもちろん、50歳を過ぎたらこれといった自覚症状がなくても、がん検診としての内視鏡検査を受けたいものです。
その際にはできるだけリラックスして検査を受けられるよう、時間にも気持ちにも余裕を持って準備したいですね。

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