40歳から「大腸がん年齢」と言われているのを知っていますか?
大腸がんの場合、40歳から罹患者数が増え始めるため、このように呼ばれます。日ごろの生活習慣とともに、加齢によった病気が増えていくのがちょうどこの時期にあたるというわけです。
そこで大切になってくるのが、規則正しい生活を送ることとともに「大腸のチェック」、すなわち大腸の検査を行うことです。
この記事では大腸がんであるかどうかを見つける手段である大腸内視鏡検査をテーマに検査のメリット、大腸内視鏡検査での治療などをお話ししたいと思います。
「まだ検査なんか早いんじゃ…」と思っている方もぜひ最後まで読んでいただきたいです。このように少しでも意識を向けることが、今後の大腸がんリスクを減らす第一歩です!
目次
検査を受けることの大切さ
40代から”急上昇”
大腸がんは40歳を過ぎると、罹患する確率、そして最悪の場合死に至るケースが上昇していきます。下のグラフは、国立がん研究センターによるグラフデータベースが公表していたものです。
見ていただくと、大体40代あたりから罹患率・死亡率が右肩上がりになっています。
(国立がん研究センターのグラフデータベースはコチラ)
40代と言えば、男性、女性ともに仕事で多忙を極め、子育てにおいてもますます重要な時期にさしかかっていく頃です。そんなある日、大腸がんであることが発覚したらどうでしょうか?
「家のローンがまだまだ残っているのに、この先どうしたらいいんだろう」
「ついこの間、会社で昇進したばかりなのに、いったいどうなってしまうのだろう」
というように困惑することだってあるかもしれません。
ただ、実際にはがんは突然発症するものではありません!大腸がんは、初期の段階だと自覚症状がほとんどないがんです。時間をかけて少しずつ症状が進んでいき、発見したときには取り返しのつかない事態になっていた…こうしたケースでがんが見つかることも多々あるのです。
大腸がんにならないために気を付ける6つのこと
そこで大切になってくるのが、「あらかじめ検査を受けておくこと」です。大腸がんは、幸いにして早期に発見できた場合には、そのほとんどが完治すると言われています。けれども、腹痛や出血を伴ってしまうようになると、がんの進行は進んでいると考えるのが普通です。
高カロリー・高脂肪の食事、スポーツをした翌日の筋肉痛に、お酒を飲みすぎて二日酔い・・・というような体への負担をいったん抑え、体のメンテナンスをはかるという意味においても、大腸の検査を行うことはとても重要なのです。さらに上に挙げた食事・運動・飲酒というのは、適度にバランス良く行えていればがんの予防にもなるのです。
国立がん研究センターを含む研究グループによると、以下の6つががんの予防に効果的だと発表されました。
- 禁煙
- 節酒
- 食生活
- 身体活動
- 適正体重の維持
- 感染
禁煙
禁煙に関しては、「たばこと言えば肺がん」というイメージがありますが、大腸がんを始め、食道がん、膵臓がん、胃がん、膀胱がん、乳がんといった多くのがんに影響を及ぼします。そして、たばこを吸うと発がんのリスクが約1.5倍となることもわかっています。
節酒
節酒に関しては、飲み過ぎはがんのリスクを高めるといわれています。そして特に大腸がんと強い関連があるといわれています。実際に、アルコール依存症の方はがんのリスクが6%、がんになる手前の「ポリープ」になる可能性が54%高まっているという研究結果も出ています。ポリープについては後程詳しく説明します。
食事
食事に関しては、野菜・果物を取ることと、食物繊維が特に重要です。食物繊維は腸で消化されずに発がん性物質を吸着しながら便として排出されるため、体内に発がん性物質を溜め込まないためにも不足にならないようにしましょう。
運動
そして、運動量が少ない人、太りすぎ・痩せすぎの人はがん全体の発生リスクが高まります。これらのことを踏まえて生活を送ることは、がんの予防になりますし、他の心疾患などの病気の予防にも繋がります。
(参考:国立がん研究センター 科学的根拠に基づくがん予防)
がんの原因「ポリープ」を切除しよう
ここでは、先ほども少し出てきた「ポリープ」について説明していきたいと思います。この「ポリープ」を切除できるかどうかが、がんになるかならないかを決めるといっても過言ではありません。
大腸ポリープは「できもの」
大腸の内視鏡検査を受け始める年齢は、40代であると多くのお医者さんは話しています。そして大腸がんのその多くは、大腸のポリープを放置したために起こると言われています。大腸ポリープとは、大腸の管のなかにできた「できもの」のことを指します。そしてこの大腸ポリープにはいくつか種類があります。
上の図にある「炎症性ポリープ」「過形成性ポリープ」といった非腫瘍性ポリープは、がん化しないポリープです。
一方、良性腫瘍「腺腫」と呼ばれるものががん化する可能性のあるポリープです。小さいうちは良性であっても、徐々に大きくなるにつれて、悪性化してしまう恐れがあるのも、このタイプのポリープです。もう一つの腫瘍性ポリープである悪性腫瘍というのは、がんそのものです。
ポリープは検査中に切除できる!
大腸がんは「がんが発見してから治療する」病気ではなく、「がんが発見される前から治療ができる」のです。なぜなら、ポリープが「腺腫(良性腫瘍)」の段階であれば、大腸内視鏡検査を行った段階で簡単に切除することができるからです。
もちろん症状次第ではできない場合もありますが、基本的にはその場でそのまま切除し、その日のうちに帰宅することができます。大きさで言えば、5ミリ以上になっているポリープは、がん化している可能性があるので迷わず切除することをお勧めします。
もちろんポリープが見つからなければ、それはそれで当面は安心できます。したがって、大腸内視鏡検査を受けておくことは非常に大切で、プラスばかりなのです。
しかしポリープには、痛みや違和感を伴うような自覚症状はありません。したがって、できるだけ早い段階で大腸の検査を行うこと――それによって、その後の「生」と「死」を分けることだって大いに考えられます。これは決して大げさな話ではありません。まだ人生も折り返しといっても過言ではない40代の皆さんに、ぜひ知っておいてほしいことなのです。
大腸内視鏡検査はどんなもの?
こんなに大腸内視鏡検査を受けることを勧めていますが、実際にどんな検査なのか、いくらかかるのか等気になる方も多いと思います。この先では、大腸内視鏡検査について詳しく説明していきたいと思います。
検査時間は約15~30分
検査を行うとなると、「一体どのくらい時間がかかるのだろう?」と素朴な疑問を持たれる人もいるかと思います。
前にもお話しした通り、40代ともなれば、公私ともに慌ただしく、
「平日は仕事やパートがあるためあまり時間を取れない!」
「でも週末もゆっくりしていたい、子供の面倒を見なければ…」
というように、病院に行って検査をするという気持ちになかなかなれない、なんていう方もいるはずです。
そこでズバリお伝えしておきます。内視鏡検査自体は平均で15分~30分程度で終えることができます。もちろん事前準備や検査後の安静時間も必要なので、確保しなければいけない時間はもう少し長くなってしまいますが、それでも半日もかからず全行程が終了する病院も多いです。
そしてこの短時間が実現できるのは、最新の医療技術と熟練した医師のスキルのためです。したがって、どこで病院を受けるか考える時は「医療設備」と「医師の情報(実績)」を事前に確認しておくのがオススメです!
費用は約5,000円~
大腸内視鏡検査(検査のみ)の費用の相場は約6000円です。もちろん鎮静剤の使用有無や、病院によって異なる場合があります。
そして検査中のポリープ切除の場合は、相場が以下のようになります。こちらもポリープの数や病院によって異なる場合がありますので、詳しくは各医院にお問い合わせください。
1割負担 | 3割負担 | |
内視鏡切除 | 約5,600~7,400円 | 約16,000~22,000円 |
痛みを感じさせない工夫
最近は医療技術も発達し、かつての大腸内視鏡検査よりも痛みを感じることは少なくなっています。それでも体内にスコープを挿入するため、多少なりとも痛みは感じてしまいます。しかし、検査方法は様々あり、病院によってどれを採用しているかは異なるため、こちらも事前に確認した方が良いでしょう。
・炭酸ガスを使用する・・・炭酸ガスは空気に比べて吸収されやすいため、腸内にガスがあまり残りらない。
・水浸法・・・少量の水を入れたり吸ったりしながら進み、痛みも少ない。スコープに力を入れなくても進みやすい。
・カプセル内視鏡・・・保険適用なら約35,000円、適用外なら120,000円と非常に高額だが、下剤を飲む必要もなく、痛みもない。
最後に
40歳を過ぎると、それまでには考えられなかった体のガタがあちこちにきます。特に大腸は、異変があったとしても、日常生活のなかでは簡単に気づけないもの。何度もお話しした通り、気づいたときには病状が悪化しているケースがほとんどです。
なので、まずは大腸内視鏡検査をしてみましょう。何もなければそれでいいですし、ポリープがあれば切除する。「ひょっとしたら、診てもらっておいたほうがいいのかも」と用心するに越したことはありません。40歳を過ぎた人は、ぜひとも大腸の内視鏡検査を受けに行ってください!
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